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シオリエクスペリエンス20巻感想/光と闇の中で生まれる魂の叫び

先日、シオリエクスペリエンスの複製原画展示イベント「ルックロックフェス」に行ってきました。

大阪でのイベントは2020年以来。初日は長田先生や町田先生のトークショー&サイン会もあるということでウキウキでした。小規模手作りイベントで、らむねの岡さんと先生方が自らパーティションなど設営していて、なんちう手作り感ある最高のイベント…!トークショーのときの距離感の近さがやばい。

ほくほくサインも頂いて、シオエク好きの他の読者さんたちともちょっと交流できて、とても楽しいイベントでした。おもしろかったなぁ。展示期間は延長されるようなので、大阪にお越しの際はぜひお立ち寄りください。なんばグランド花月のお土産コーナーが舞台です。

↓過去大阪で開催された際の模様はこちら。

さて、そんなシオリエクスペリエンスも20巻に突入。今回のイベントでは先出して20巻の原画も展示されていました。19巻は「20巻ではとんでもねえことが起きそうだ」とワクワクしていましたが、このイラストを見てからはほんと待ちきれませんでした。果たしてどうなる…!

SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん 20巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

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ここまで温め続けてきたからこそレジェントたちの共演が際立つ

紫織を通じてのジミ、カートとジミの共演、カートとジャニスの共演…20巻に到るまでに様々な形で伝説のミュージシャンの凄さを描いてきたからこそ、ついに実現したThe27Clubが一堂に介してのパフォーアンスの凄さが際立ちました。長田先生もいつも以上の”渾身”っぷりがあったんじゃないのかなと、あるいは彼らの共演を描くことによって長田先生自身にもブーストがかかってたんじゃないのか!と思うくらい、絵力も表現も音圧もすさまじいページが続きました。最初に読んだときは言葉を失って、二回目読んだときはずっとニコニコしてしまった。

なんなら最初のカラーの時点で心を鷲掴みにされて、ヘリの音もブーイングの音も全部紙面から聞こえてくる。それがザッと静まる感触も、湧き上がるオーディエンスの熱も感じられた。

何よりイイなぁと思ったのが、ジミが紫織の体を借りて淡々とスーパープレーを繰り広げた結果この舞台にあがる…みたいな展開ではなく、紫織と共に歩んできた結果、紫織の協力と意思を経てこの舞台に立つということ。ただ憑依しているだけではないのが良い。「紫織のおかげだ」と感謝を告げて、「後はまかせとけ」とギターを掻き鳴らすジミがかっこよすぎました。

えっ

Like a Rolling Stoneの演出かっこよすぎんか?????????????

光と闇

光と闇。20巻を通してのテーマはこれだなと感じています。モーガン⇔The27Clubの世論的な構図における光と闇、モーガンをとりまく光と闇、エランの抱える闇。伝説のミュージシャンたちが抱えていた「やりたくもねぇライブ」と今のコントラスト。それらが全部ドカンと集約されている1巻。とにかくLike a Rolling Stoneの見開きPCの壁紙にしたい。かっこよすぎる。

全員揃ったThe27Clubのお披露目がこんな形でいいのかという感じはあるけれど、こんな逆境で注目を浴びた状況だからこそ意味があるライブになっているし、今まで関わってきた全員がいろいろな思いを胸にステージを見ているのがいい。ドリヒルちゃんかわいいし、ガーターキーのお兄ちゃんがウキウキなのがとってもいい。とってもいいぞ。白湯飲む黒井最高か。

ドカンドカンとスーパープレーを行い、モーガンを唖然とさせて世論をひっくり返す!みたいなシンプル展開にならないのがシオエク。モーガンみたいな圧倒的悪役が出るのは珍しいです。その闇を更に際立たせていく…ささっと解決するには大きすぎる存在だということ。2曲続けて読者を熱狂させたあとで「余計なやつが出てきたよ…」と眉根寄せる展開ではありますが…。

エランが戦うこともよかったし、エランとジャニスがパートナーとして絆を深めた事実がとてもよかったです。ただの器じゃなくなったぞ!!という関係性の変化。

元々のThe27Clubの面々は自分自身のことを「あくまで私たちは伝説のミュージシャンの器」でしかなく、良くも悪くも双方に影響を与えるものではないと考えていました。それが紫織とジミの関係性とは少し異なっていた部分。18巻でこのあたりに触れていましたね。

他のメンバーとのスタンスの違いがここで明らかになりました。レジェンドの"器"になって、意思なくJack inされている彼らと、ジミに教えを請いながら、Jack inされながら自らもギタリストとして成長してきた紫織。スタンスの違いは、それまでのExperienceにも差をつけていく。

シオリエクスペリエンス18巻感想/それぞれのエクスペリエンスと、魂の叫び - DegoReco

ただ、今回の出来事を通じて、エランの魂の叫びにジャニスが動きました。エランはもうジャニスのための器だけの存在ではない。エランとジャニスの関係性が変化したことで、今までの歌声以上の何かが生まれるはず。このエクスペリエンスを通じて次のステージへと登ったのだと思いました。

今までは「パートナーとしてエクスペリエンスを紡いできたジミ×紫織」と「器として存在していた彼ら」のギャップが生まれてくるのかな?と思いましたが、もしかしたら The27Clubそれぞれパートナーとしてお互いが化学反応を起こしていく存在になるのかもしれません。そうなるとまた今後の展開がどうなるかわかったもんじゃないですね。がっはっは。

いやあ、それにしても憎しみ、闇に包まれていたエランをジャニスの歌が光で照らす展開、モーガンの背に光がバカンと当たる黒白コントラスト最高でした。

 

少し話は変わりますが、シオエクは町田先生がネームを描いて、長田先生がネームを元にカメラワークや演出、表現を考えていらっしゃるそうです。それを聞いてから、「演出」を考えたページづくりに思いを馳せてしまうようになりました。ページ全体を通じて、あるいは話全体、1巻全体を通じての光と闇(影)の使い方が今回すごく印象に残りました。もちろんそれだけでなく、「いかにジミの偉大さを伝えるか」みたいなのを感じた演出もありましたね。アナウンサーがジミの名を出すときの見開き、レジェンドすぎるでしょ…。あと個人的にはGod see you again弾き始めるときのカートがめっちゃ好きです。えへへ。

いやはや。熱狂冷めやらぬ20巻前半からの闇急降下展開でしたが、闇と憎しみに包まれたエランが愛と光で笑顔を取り戻していく展開には、前半とはまた違う熱が胸にやどりました。

モーガン編決着つかないかー!と思ったっちゃ思ったのですが、おそらくずるずる引っ張ることはないんだろうなと。正直The27Clubのバックに居るフィクサーがこのまま黙ってないでしょ……。21巻も楽しみです!

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