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やたら聞く「スタートアップの『スピード感』」って具体的に何なのよ

「スタートアップのスピード感」って何?

SNSを始めとした各種メディアで目にする「スタートアップのベンチャーの)スピード感って言葉、よく目にする割に具体的にどういうことかよくわかんねーな…と思ってました。よくわかんないけどキラキラしてんなーって。

「大企業と違ってスピード感が違うから、ついてくるの大変かもしれませんよ??(フフフ)」みたいな、我こそは特別ぞみたいな言い回しを見かけることもあり、それはそれでめっちゃ損してるなと思ったりもしました(そんなにあなた達は特別なのかしら?)

キャスターの石倉さんが結構な頻度で「特別感を演出しすぎて人を遠ざけてるスタートアップいるよね」的な話をしてたのを見ているから余計にそう思ったのかもしれない。(以下の一連のスレッドのような話)

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あ、転職しました

ちょっと前にスタートアップに転職してフルリモートで人事やってます。入社して最初の頃に感じた大変さとか、そこからどう工夫して馴染んでいったかとかは、また別で書こうと思います。

今回は、初めてスタートアップに身をおきながら表題のようなことを考えた記事です。スタートアップのスピード感を否定したいわけでもなく、「スピード感」つってもいろんな意味合いがあるなと思った話。

前提:やんなきゃいけないことだらけ

前提として、スタートアップは色々装備が揃ってない状態にあります。基盤となる稼ぎ口の確保だったり、稼ぎ方の型だったり、社内の意思決定のルート整備だったり、ヒトが入る時の定例作業の「定例化」ができてなかったり、いろいろなルールが未整備だったりする。

決めなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがたくさんある。かつ、規模が大きくなるに連れて「やらなきゃいけないこと」の段階が変化する。組織のあり方も変化する。組織に必要な役割を作らなくちゃいけなくなったりする。

やることいっぱいVSリソース足りない=たくさんの同時進行

"リソースが足りない"というのは少し違うかもしれないけど、少なくともやらなきゃいけないなー!ってことはたくさんあるわけですね。役割の細分化とか言える状況じゃなかったりする。成長度合いによって異なるとは思いますが。役割を分けたとしても、その役割が担う領域は結構広かったりする。

だからこう、図のようにいっぱい案件を抱えるし、案件ごとに期限があり決断があり決定後の作業があり&ルーティンもあるよ!!みたいになる。案件独自のテンポも当然速いし、それが複数同時多発してラリーも複数展開して、結果的に一定の期間で「決まったこと」「できたこと」がたくさんあるから、スピード感を持って仕事を捌いた体験になるのかもしれない。

正直これを圧倒的成長と呼ぶのかはよくわかんないな。ソシャゲ始めたばかりのころに、何かをやるたびにミッション報酬もらえるものに近い感覚もちょっとある。

意思決定ラリーのテンポの速さ

案件のテンポが速いのは、「今までとの調整を踏まえて検討」ではなく「0→1」で考えてまずは今の最適!!を考えるのが一つと、それを提案して話し合う上の人との距離の近さがあるのかなと思ってます。何かを決めるのに「部長や本部長の事前説明をした上で決裁」みたいな立ち回りではなく、部長とちょっと話してそのまま役員に打診して決定して着手!みたいなスピード感の一面もある。

先述の通り未整備のことが多い中であり、人数も少ないから影響範囲も小さいしで、「決めさえすればできる」ことも結構あるんですよね。やんなきゃいけないことがたくさん明確にあるフェーズだからこそ求められるスピード感なのかなーとも思う。「よりよいキッチンにリフォームするのを検討しよう」じゃなくて「キッチンないから早く整備しなきゃ」の意。

いろんなスタートアップ系記事を読んでいると『朝「これやりたい」といった事がその日のうちには実現した!』的なエピソードがしょっちゅう出てきて、そりゃすげーーや!!となる一方で、それはまだ前例がないからエイヤで出来ちゃった場合もある(&よく聞けば数日後に廃止になってたりするかもしれない)ので、必要以上に凄みを感じる必要はないのかなーと思ったりしています。いや凄いんだけど。

裏を返せばエイヤで決めなきゃいけないことが結構あるので、そういうのが苦手な人はあれかもね。とは言えエイヤで決めたけど後から方針転換・微修正なんてのもざらだろうから必要以上にビビる必要もなかったりもする。整った組織とかだとその辺ホイホイ変えないように、様々な条件を揃えた上できちんと決めたりするので、そのギャップはある。

悪い意味での朝令暮改とかもあるんでしょうね

今の職場では遭遇してないけど、いろいろ言われるスピード感の中には「昨日と言うてたのが違う!!(悪い意味で)」みたいなのもあるんだろうな。偏見ですけど。(偏見です)

爆速なのが本当にすごいのか?とは常に疑問を持つようにしている。確かに打ったら返ってくるテンポの良さと推進力の楽しさはある一方で、本当に考慮しなければいけないこと、法令に違反していないかのチェックなどをすっ飛ばした「爆速」は、ただの暴走なのだ。

一皮むけることへの覚悟

私が入社したところは、スタートアップだからといって「スタートアップを免罪符にする」ことを良しとしない思想が経営陣にあるなー、と思っていて。そのあたりのバランス感覚が今のところ居心地が良いです。慌ただしい環境ではあるものの、行き当たりばったりのルールを作ることを是とせず、悪しき朝令暮改も是とせず、コーポレート周りもきちんと整えてこそ…という意思を感じている。

ので、私のようなスタートアップのキラキラ感とは縁遠いタイプでもやれています。今とっちらかってる情報と前提をきちんと拾い集めつつ、しっかりと物事を進める役割。これももちろん、今のフェーズだから求められた役割なんだろうなと思う。

 

創業当初のように、特段の手続きを踏まずに進められたものや、シンプルな「個々のがんばり」によっていろいろ進められたものが、ちょっとずつルールや仕組みが整備されていく。

例えば「採用が決まって明日から来てもらうから準備して!」みたいな、人事担当が無茶しないといけないようなモノとか。このあたりの「担当が無茶すりゃいい」を前提にしないように、組織を作っていく。

そういった「昔はスピード感爆速でよかったよな」とモチベを下げるんじゃなくて、今後の成長のためには昔のままじゃいられないと意識してくれているっぽいので、めっちゃやりやすいなと思ってます。

スピード感スピード感とよく言われるけど、それは①リソースの少なさに対して豊富なタスク量から来る慌ただしさ感、②意思決定の距離感の近さ(と影響範囲の狭さと規模の小ささ)による決定&実行のテンポ感、③時に本来は好ましくない無理やりな進め方の爆速感(暴走感)、みたいなものかなーと思いました。

で、この「スピード感」ってのはスタートアップ特有なのか?と言ったら当然違って、会社のフェーズによって求められる「スピード感」のタイプが違うってだけの話だなと思いました。何かを依頼したら誰かが爆速でやってくれた!みたいな話って別の規模の会社でも全然あるしね…。

大企業病などとよく揶揄することはありますが、スタートアップ病みたいなのもあると思うので、適切に言葉を因数分解して、やたら漠然とした言葉を使わないようにしたほうがいいなと思う次第です。

 

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