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『コミュ力』という漠然とした言葉に苦しんできた人へ/『コミュ力なんていらない』感想

今週のお題「読書感想文」

『コミュニケーション能力』

これがあるや否やに振り回され、落ち込んだり自己否定をしてしまったことはないだろうか。しかし、そもそも『コミュ力』とはなんなのか説明できるだろうか。人によって説明の仕方は異なるだろう。

大人数の場で誰にでも話しかけられる人がコミュ力がある人なのだろうか。その距離の詰め方が急すぎて相手が不快に思ったことがあったとしても?

人前で話すのが苦手な人はコミュ力はないのだろうか?テキストコミュニケーションになるととても饒舌で、自分の意見をしっかり表明できるとしても?

 

コミュニケーションの形はその場の状況、相手との関係性、その目的など掛け合わせると無数に存在する。それらを総括して『コミュニケーション能力』としてよいのだろうか。能力の「ある」「ない」は局所的な部分を指しているだけではないだろうか?

コミュ力』という言葉は曖昧で、我々はそのカタチのない言葉に自信を失い、否定されたような気持ちでいたのかもしれない。

「コミュニケーション能力がない」と自分で思っても、すべてのシチュエーションが苦手というわけではないはずだ。

 

本書は決して「『コミュニケーション』は不要である」と説くものではない。

『コミュニケーション能力』という漠然とした言葉による呪いを解き放ち、個々の得意を活かすことを後押ししてくれる本だ。

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レビューチックな書き出しをすると肩が凝ったので、ここからはゆるゆると思ったことを…。

『コミュニケーション能力』の因数分解する

 私が得意としているコミュニケーション場面はどこになるか考えてみる。

 【種類】目的完遂/関係構築

これはどちらもあるなー…。仕事やトピックスが決まっていれば、それを軸に話せる。雑談もまぁ、ほにゃほにゃっと話すことはできるけど、「共通の話題」があることが条件かもしれない。まったくの初対面で、興味のある話題が見つけられないと結構しんどい。無難な会話が苦手。

職場であんまり趣味が合わない同僚と会話が弾むかと言えばそうでもないので、ランチ会とか苦手なのよね…。

【手法】話す/聞く

話す場合は、ある程度の関係がある中で自分の意見をちゃんと話すとか、聞いてもらえる場がセットできていれば問題ない。

喧々諤々の議論の中に割り込むことは苦手だ。

というのも、私は聞くことをまず優先している所がある。相手の話を聞き、理解することに重きを置いている。それを噛み砕いた上で、自分の意見を述べたいタイプ。一方的に自分の意見をまくしたてることが得意ではない。

【対応】空気を読むとか、ノリに合わせられるかetc

これに関してはどうだろう。自分のペースを保つ傾向にあるように思う。場の空気やノリが不得意な場合、合わせていくより遠ざかることが多い。そこに適応しなければと使命感を抱かなくなったので、それはそれで対応策が身についているのかもしれない…。

ワイガヤ飲み会の中でも1:1で誰かと話してる気がするな。

【人数】

1:1が圧倒的に好きかもしれない。3人以上になるとちょっと……と思ったけど、3人以上になると「話すのは苦手」かもしれないが、聞き役にシフトをして場を楽しんでいるから、それはそれでいいのかな。話を振ってあとは聞いてることある。

10人以上の大人数になると、その中で1:1を探していくことが多い。

例外として「大人数に対して一方的に話す場がある」セミナーなどは得意かもしれない。教育実習好きだったな。採用での説明会も、社内の制度説明会なんかも苦ではないし、むしろ好きだ。「相手に何かを伝える」ことが目的の場は得意なのかもしれない。

【ツール】

これは対面でもビデオ通話でもチャットでも特に苦はないような。議論系になると、先述の通り聞くに徹しがちなので、そういう意味ではちゃんと考えて自分のテンポで返せるチャットのほうが得意かもしれないな。

得意と向き合う、苦手は避ける

こうして書き出すと

○聞くのは大好き(話しやすい雰囲気が出せてるのか…?)

○特に1:1で向き合って話したり聞いたりするのは好き。(目的のない会話は△)

○目的や共通トピックスがあれば初対面でもいろんなケースで話しやすい

○「自分のターン」があるなら、大人数相手でも話せる

○ちゃんと考えて相手に伝えたいから、喧々諤々は苦手

といった部分が見えてくる。その場面をどう作り、どう活かすかの思考にリソースを割けばいいのかな。

苦手な部分をどう避けるのか。喧々諤々しそうなところは、仕切り役になっちゃう!とかでしょうね。主導権とっちゃったり、整理しちゃったりすればいいのだろう。

また、咄嗟に意見が出せなくて困るなら、事前に考えを準備しておいて、振られたらさもその場で思いついたように、考えてきたことを言えばいい。

苦手なパターンのときは、真っ向から立ち向かわずに「苦手なりにできること」を考える。

こう考えてみると、苦手なコミュ力パリピ系の人と接する際は、3歩くらい引いて聞くに徹する、相手に勝手に喋ってもらうなど、私も無意識にやってるなぁ。

得意領域は無意識にやってるだけに、コミュニケーションって「自分ができないこと」にばかり目が行きがちなんですよね。うまく喋れる人を見て「ああならなきゃ…」と思ったり、場を仕切れる人を見て憧れたり。

そういう人から見たら、自分は「ちゃんと話を聞ける人」「冷静に意見が言える人」に見えてるかもしれない。っていうかうまく喋れてる人も「しゃしゃりすぎたー!!!」って反省してるケースもあるっぽい。そう思うと気にしすぎる必要ないなこれ。

自分に何ができているのか。石倉さんはこの自分のメタ認知が優れているのだと思う。

分解し、目的にフォーカスする

本書では『コミュニケーション能力』と仕事の良し悪しは別問題だと説いている。そして、仕事上のコミュニケーションで大事なことは、「相手の言いたいことを理解し」「自分の伝えたいことを伝える」ことの2点だ。ペラペラ話すのがうまくても相手に伝わらなければ意味がない、誰とでも苦なく話せても相手の言うことを理解できなければ始まらない。 

そもそもコミュニケーションは目的を達成するための手段の一つに過ぎない。目的にフォーカスした上で、自分が取れる手段を考える。アドリブが下手ならテンプレを用意する。直接会話が苦手ならメールやチャットで伝える術を磨く、などなど。

 

…と考えていくと、仕事ってそういうのばっかだなと思う。感覚や思い込みで迷走し、「目的はなんだっけ?」となるか、目的と手段がすり替わることがある。

様々な雑音や大きな言葉に惑わされず、事実や目的を分解し、どう対処するのかを自分なりに考えること。そこで必要なのがメタ認知して把握した自分の手札だ。

まとめ

本書は『コミュ力』という言葉の呪縛から解き放たれ、仕事や人間関係がちょっとラクになる上に、仕事で重要な目的へのフォーカスについても考えさせてくれる内容となっている。

『コミュニケーション能力』の有無で悩んでいた人、仕事上のコミュニケーションで悩んでいる人たちの救いとなり、ワクワクさせてくれる本だと思う。

 

そして、『大学デビュー』みたいな言葉に惑わされがちな大学生や、コミュ力をやたら問われる就活生にも参考となるだろう。就活で言われる自己分析ってこの因数分解から始めたら良いんじゃないかな。

あとは恋愛とかそういったところでも効いてくると思う。自分の苦手なフィールドで戦おうとしたり、自分とコミュニケーションタイプがまったく異なる相手に対し、不適切なアプローチをしたりしてないかな?みたいな。予め知っておいたり、伝えられたりするだけで変な衝突は減りそう。

 

余談:でごのコメントも載ってます。書籍デビュー!(?)