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丁寧さを意識するあまり対等さを失うコミュニケーション、あるいは言葉ダイエットについて。

かつてはメールで、最近ではチャットで時々見かける「敬語をこねくり回して、余計な情報が多くてわけがわからない発言」。例えば「~させていただきます」が同じ文章で何度も出てくる文章に出会ったことはないだろうか。

これに触れているのが書籍「言葉ダイエット」、および「~させていただけないでしょうか禁止令」である。「させていただきました」など敬語を繰り返してしまうのは、主張したいけど嫌われたくないという心理があるとバッサリ言い放っていて、私は「あっ」と思わされた。岸田さんのnoteで知ったので、2年前のことか…。

丁寧に丁寧に、失礼のないように…と書かれた文章は、何が要点がわからず相手に読みづらい文章となり、かえって相手に迷惑をかけることがある。難解な文章を読み解くことはそれなりにストレスになるし、文章だと認識のズレも起こりやすい。(口頭でも起こりやすいので、文章に限った話ではないが…)

重要なのは言いたいこと、伝えたいこと、お願いしたいこと、自分がやること…伝えたい事が相手に伝わるか。こねくり回した敬語のデコレーションは、度が過ぎると雑音になる。これを意識するようになってから、メールやチャットの文面が軽快になった…ように思っている。

言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術

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最近、「させて頂きます」に限らず、なんでもかんでも文章の終わりを「よろしくお願いいたします」で締める後輩が目に留まった。

例えば。何かの許可を取り、「OK」ともらった返しで、「承知しました。回答ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」と、相手によろしくしてないシチュエーションでも、手癖のように使っていた。

よろしくお願いしますと言われたら、何かお願いされていると一瞬錯覚してしまう。しかし改めて読んでみる、特にこちらのアクションは求められていない。

…いやあ、細かいことを言ってるなぁと自分でも思うが、テンプレートのように語尾に「よろしくお願いいたします」をつけるのは、不適切な場合もあるよ、と伝えた。


その後輩のチャットを見ていると、ある傾向があることに気がついた。社内でのやり取りにおいて、過度にへりくだっているように見えるのだ。前述の「よろしくお願いいたします」は、結構な頻度で「お手数おかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします」になる。本当に相手にお手数かけているケースもあるが、そうでない際にもそのフレーズが見える。「一緒に仕事をする仲間として」連携しているというより、「相手の手を煩わせている」構図になってしまう。

管理部門と言うのは、現場に本業以外のことをやってもらうことが多いのは事実だ。しかし、採用活動のような現場と一体となって行うものや、会社運営上必要なこと(経費精算とか…)、管理部門同士の連携などにおいては、どちらかが下である…といった関係性はあまり存在しない(方がよいと思う)。

過去の人事・現場間に何か問題があった名残でそうしているのかもしれないし、部内でも若手だから丁寧に丁寧にしようとしているのかもしれないが、過度に「お忙しいところ恐縮ですが何卒ご協力お願いします」のスタンスであろうとして、自ら対等なコミュニケーションを遠ざけるような結果になっている。


依頼のタイミングでもそうあるように、実際になにかしてもらったときには「お手数をおかけして申し訳ありません」が先に出てしまうようなタイプだ。

私が何か後輩のためにフォローした時もそのように返してくることが多い。謝られてしまうと、却って「そんな気を遣わんでも…」とこっちが気を使ってしまう。自分に非があり、本当に相手に手間をかけた場合はともかく、相手に何かしてもらったときには「ありがとうございます」の方が、相手としても気持ちいいのではないかな。

この「自分を必要以上に下げるクセ」が残ってしまうと、今後どの現場でも、相手と対等な関係性で仕事をするのが難しくなってしまうように思う。話を聞くと、マナー的にそうしている、と聞きかじりのマナーを盲信している節もあり、そうだとしたらなおのこと、心のこもっていない、形骸化したやり方を続けていることになる。それはそれでよろしくない。

もっと強気な態度を取れとか、「やってもらって当たり前」のようにしろと言うわけでは毛頭ない。相手を尊重しながら、丁寧にコミュニケーションを取ることは大事なことだ。しかし、過度にへりくだり、相手との距離を取るコミュニケーションを続けてしまう癖はちょっともったいないな、と思った。