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【読書】『「わがまま」がチームを強くする。』わがままの奥にある「こうありたい」をどう活かしていくか。

サイボウズ チームワーク総研が本を出しました。買いました。読みました。(←ここまでは超速かった)

記事を書くまでに時間が立ってしまったのが惜しい。反省。いや、書きたいことが多すぎて…

teamwork.cybozu.co.jp

 

表紙をめくったところからすごく良いことが書いてあるんです。

わがままは、「楽しく働くためのヒント」であり、「社会を変えるかもしれないアイデアでもある。

 

わがままと聞くと悪いイメージがあるかもしれないけど、「これが嫌だな」「なんでこれができないかな~」みたいなわがままの裏には、「こうありたい」「こうあったほうが良い」という理想、願望がある。

変化の激しい時代、特に今のような不確実性の高い状況では個々の思いやありたい姿が本当に多岐にわたります。今までの当たり前や慣習が通じなくもなり、個々の生活も大きく変わり、「こうした方が良い」という方法も、確固たる正解が無い中で試行錯誤が必要となります。

そんななか、個人の「わがまま」は社会を変えるアイデアかもしれないとスポットライトを当てます。

 

本書の構成は以下のようになっています。

  • 第一章 一人ひとりの「わがまま」がチームを強くする
  • 第二章 チームで「わがまま」を言う練習をしよう
  • 第三章 みんなの「わがまま」の交通整理をしよう
  • 第四賞 たくさんの「わがまま」で石垣のような組織をつくろう
第一章 一人ひとりの「わがまま」がチームを強くする

まず、「わがまま」ってチームの中でめっちゃ大事なんじゃない!?みたいなところを説きます。だってそれって今の問題点だったり、こうあったらいいよね的な意見ってことでしょ!?みたいな。

そういうのを言わないと、誰も違和感に気づかないし、何も変化しない。けど、そもそもそれを言い出せないような仲間たちや、「わがまま」を受け入れてくれない環境だったら結構辛いよね…このさき…みたいな話もあります。

 

第二章 チームで「わがまま」を言う練習をしよう

第二章がすごくいいんです、正直私はこの第二章に書かれている内容を、サイボウズ式やサイボウズのイベント等で聞いて救われたと言っても過言ではない。救いどころか、自分のあり方を変えた大きな転換点だったのではないだろうか。 

 

この第二章は、「わがまま」ってどうやって言うねん。みたいなところを解説しています。わがままが言いやすいに越したことはないけど、心理的安全性が低いところではどうしたらいいの?という問題点。そう、違和感はあるんだけど、それはどう発信していけばいいんだろう。「どうせわかってくれないよね…」と、上司や役員、反発する社員の顔が浮かぶときにどうアクションを取ればいいんだろう…と思う内にしまい込んでしまっていた思いをどうしたらいいのか。

 

「わがままが言いにくい」環境…「言ったところで変わらない…」「言ってもいい顔しないよね…」「言ったら文句と受け止められる…」みたいな、こういう心理的安全性が低い環境でも実践できるネクストアクションを提示してくれます。これが本当に心強いんだ。

『違和感を覚えたら言ってみる』みたいな小さなところから始めることと、その違和感を解消すると、仕事にこう貢献できるよね』って発想で考えてみること。

また、そういう違和感を言える仲間を作ること、そのためにまず発信してみること。

社長の考え方が、役員の考え方が…って、「自分とは全然考えが違う人を変える」ことに労力を割くんじゃなくて、自分と波長が合う人を見つけたり、一緒に動ける人と少しずつ行動してみる。意見を言い合うだけでも進展していく。

このわがままが自分たちをラクにして、なんなら組織にも良い影響を起こすぞということから、ちょこちょこやってみると良い。  

それでもホント、だーれとも考えがあわなくて、反論しかされないような感じなら、環境を変えちゃうのもありですよね。見限るって大事。それで従っていくのも選択肢だけど、自分の考えに近い環境に居たほうがハッピーですよね。

cybozushiki.cybozu.co.jp

 

私は社内でいろんな改善提案や、良いと思う記事などをシェアして働きかけるようになりました。心がけているのは『こうするとこの課題がクリアになる』『この他社のやり方と、考え方は参考になる!』と今の課題と紐付けて話すこと。要は、今の組織や業務の問題をディスるわけではなく、こうできたら良いなぁ…と思ってることを伝えている。 

そこから、自分でもできるプチアクションを提案、実行していくことで、仲間が見つかったり「こいつはこういったことに関心があるんだな」と同僚や上司から認識されるようになりました。自分のチーム内に似た価値観の人がいなければ、よその部署で気が合う人を探して(発信してたら勝手に見つかったりする)その人たちと盛り上がってみたりもしています。 

「疑問に思うこと」も積極的に言うようにしました。これも「なんでこんなことやってんすか?はぁ?アホなの?」みたいな思いを一旦しまい込んで…純粋に正面から疑問を持ってみることを大事にしました。そもそもどうしてこんなことをやるのか。何かしらの思いや、それによって生まれる効果があるのかもしれない。無いなら考え直したい。

 

こうした方が良さそうに思う、とか、改善提案が思いつかない場合も「やけに負荷が高すぎるから、どうにかしたい」という意見を出すだけでも良いということも学びました。とにかく、自分が言うことで周りが言いやすい空気を作りたかった。「なんかあいつ言うてるから俺も言うてみよか」という感じの波及が起きたり…起きなかったりしている。簡単には起きないねえー。つらいねえー。改善提案をおおっぴらに呼びかけるの私ばっかりだねー…。今目の前が忙しくてそれどころじゃない場合もあるけど、長い目で見れば変えたほうが今後もあとの人も楽になる、みたいなことは積極的に変えていきたい。

それでも自分が提案してみると「あ、それいいね」と追随してくれるシーンがあったりはしますね。自分でなんか発案をしづらいときは、提案アイデアを出すのが好きな人を支援、賛同することでも力になれます。

 

…話が完全に逸脱してきた。愚痴や文句を自分の中で、仲間の中で溜め込むのではなくて、じゃあどうしたいんだろう、というネクストアクションを積み重ねていくことが大事なのだと思います。いきなり大きなことや、大きな組織ではできないかもしれないけど、チームの中で、なんなら自分ひとりのできる範疇でやってみる。

その大事さを私はサイボウズから学び、実演し、実感しました。それを私は伝えていきたい、と今は思っている。ちっぽけな担当者一人が変わることから、結構色々動かしていけるし、そうすることで自分自身がすごいラクになるんだよなぁ。

 

第二章は本書の中でも短めの章ですが、「違和感をおぼえること」「違うなと思ったこと」を後押ししてくれる、個人として勇気を貰える章でした。

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第三章 みんなの「わがまま」の交通整理をしよう

第三章は、これぞサイボウズチームワーク総研!みたいな感じ。わがままを出すには、出たわがままをどう整理していくのか。チームの強みを活かすことや、役割を決めるということは組織づくりの中ですごく興味深いポイント。

日本的な会社は割と苦手なこともまんべんなくやらせて昇格、みたいなことをしている気がするのですが、チームで目的を達成することに立ち返ると、「お互いのできることで補い合うチーム」はとても働きがいがありますね。自分がどう貢献できているかが見えやすいからかもしれない。

『本人がやりたいこと(Will)、本人のできること(Can)、会社がやってもらいたいこと(Must)が掛け合わされることでモチベーションがあがる』としていて、まさにそのとおりだなーって。それこそが流行りのタレントマネジメントでもあり、タレントを活かす組織づくりなんじゃないのかな。

会社員のキャリアパスとして管理職を目指す…みたいな固定概念もありますが、マネジメントじゃなくて現場でバリバリ手を動かしたい人をマネジメントにコミットさせることは、モチベーションに繋がるのかしら…。マネジメントされる側もちょっと気の毒だったりしませんか。

これができる、これは苦手。それを補い合う関係の構築。そのためには自己開示をすることも必要ですね。「これは苦手」を言えることって、大事だよなぁ。社内にそれが得意な人がいなければ、外に出しちゃうっていうのも必要な選択です。

『やりたい人が誰もいないなら、この役割自体をなくしちゃおう』『新たな海外拠点を作りたいけど、行きたい人が居ないから辞めとこう』ってなるの、企業活動の目的や理念あってこそだけど、社員の強みをどう活かすか、働いている人たちがどうしたいか、を重視しているからこそですよね。

で、それを重視されているからこそパフォーマンスが上がるんだよな。売上や事業拡大を目的にして、それを優先するあまり働く人達が疲弊していく組織がどれだけ多いことか。サイボウズも過去はそういう企業であったけど、それによって生じた離職率28%の結果を受け、注力する方向性を変えて徹底している。

第四章 たくさんの「わがまま」で石垣のような組織をつくろう

『たくさんの「わがまま」で石垣を作る』

この表現が本当にさあー!!!石垣って表現素晴らしい。イメージできるもん。いろんな形の石がぎゅっと集まって、強い土台となる感じ。わ、わ、わかりやすい…100人100通りがバラバラじゃなくて、100人100通りがチームとなって集まっている感がでている。

みんなバラバラで、わがままを出しあって強固な石垣を築くための、大前提がいくつかあります。公明正大の話や、透明性について触れている章です。

 感想まとめ 

私は当初サイボウズを知った時に、「こんな組織はいいなぁ」と思うと同時に「でもうちのカイシャじゃあこんなマネできないなぁ」と同時に思っていました。それで終わって、ぶーぶー思いながら働いていました。憧れだけが胸にあった。

「うちではこうできないなぁ」と思い浮かんだのであれば、「自分はどうしたいんだろう」をネクストアクションにしていけばいいのだと気付かされました。

それは『経営層の意識を変えよう』なんて大層なことではなく、目の前の小さな違和感と向き合うようなことから。自分がやりたいやり方はなんだ、作りたい環境はなんだ。そうしたことと向き合うことで、自分の行動が変えられて、「チーム」も変えていけるのかもしれない。

あるいは、自分が居たいと思える環境や、やりたいと思えることに新たに出会えるかもしれない。自分のわがままってなんだろう。わがままは単なる不満じゃあなくて、「こうしたい」という願望であり、それって活用のしがいがあるぞ!と気づかせてくれる。そんな一冊です。

 

いろんな局面で、何度も読む本になりそうです。

「わがまま」がチームを強くする。