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SF偏差値の低い私が、Outer Wildsをきっかけに手に取ったSF作品

今週のお題「SFといえば」

私はSF偏差値が低い。SF偏差値ってなんだ??SFのことを知らなすぎることが露見する言葉を使ってしまったが、とにかく「SF作品にあまり触れてきていないな」という実感がある。創元、ハヤカワのSF文庫は私の本棚にラインナップされていなかった。

そんな私が、最近意図的にSF作品を接種した。ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』、そして劉慈欣『三体』シリーズだ。勘のいい人ならお気づきかもしれないが、全てはゲーム『Outer Wilds』の影響である。

星を継ぐもの 巨人たちの星シリーズ (創元SF文庫)

三体

dego98.hatenablog.com

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SF初心者の読書

SFを読み慣れていなかった私は、当初これらの作品を読むのに苦労しました。おもしろくないとかそういうのではなく、「書いていることの理解」にリソースを頑張って割く読み方をしてしまっていたから。

非常に小難しい科学的用語(実在する用語なのか、作中の架空用語なのかも悩ませるポイントだった)、そしてそれらに対するこれでもかというほどの緻密な描写。作者の頭にある空想世界を文章で表現すると、こんなに細やかな描写になるのかと!しかも未来だったり超科学だったりするもんだから、どうしてもイメージしきれない。

と、真正面から堅い頭でぶつかっていた…のが、よくないな!!と割り切ってからはスイスイでした。描写されている空想世界を、"理解"するのではなく、自分でも空想してみればいいのだと。そして、こまけぇこたぁいいんだよ!!の精神。例えば宇宙船が動く仕組みや、例えば仮想現実空間の技術仕様についての事細かい描写をがんばって理解しなくてもいいんだ!という割り切り。読み飛ばすわけではなく「はいはい、そういうのがあるのね」くらいに思うのがちょうどいいんだなー、と。

もちろん、近未来的な技術について、ここまで細かく考えているロマンもSFの魅力なのでしょう。読者によってはそこがメインまであるかもしれない。

冒頭であげた作品を読み、私はストーリーの壮大さに心をドカンと撃ち抜かれた。その近未来的な科学技術が登場人物たちの物語を彩る大掛かりな舞台装置となり、いつの間にかそのスケールの中に没入している自分がいた。

星を継ぐもの

「Outer Wildsをクリアした人におすすめ!」という布教のされ方から手に取った作品。

星を継ぐもの 巨人たちの星シリーズ (創元SF文庫)

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。

めちゃくちゃおもしろかった。普段日本の作品ばかり読んでいるから、登場人物の名前と役柄に手こずったけど、気づいたらのめり込んでいた。あらすじの時点で「5万年て…」と途方もないことになっていたけど、読み進めると「えーっ!!」で「ええええーーっ!!」で「えええええええー!!(うるさい)

正直読んでみてくれ…としか言いようがない(ブログの意味とは)。これは読むOuter Wildsでした。ありがとうございました。

なんだろう、変な言い方かもしれないけど、「空想だからなんでもできる」側面もありつつ、「なんでもできるからこそ説得力も求められる」なかで、物語として破綻せず、この壮大なスケールの物語を書き切るのがSF作家のすごいところなのかもしれない。作者の織りなす世界に読者をきちんと誘い込み、その世界を最後まで描ききる妙。自分とは違う世界の中で行われる一大スペクタクルを目の当たりにできる…これがSF…。

三体

こちらも同様の理由で手に取った。

三体

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

おもしろすぎて三体Ⅰ~Ⅲまで一気に読んだ。

個性豊かな登場人物が織りなすドラマが抜群におもしろい。頭がよかったり、行動力があったり、マジ何考えてんのかわからない恐怖があったり、普段めっちゃうるさいけど実はめちゃくちゃ頼りになったり…。一癖も二癖もある登場人物たちが、まぁほんとよく練られているね…。こんなときにはこういう行動をする、思考をする…と緻密に作り上げられているから説得力がある物語になっている。

本筋のストーリーは、言ってしまえばシンプルで、地球外の文明とのコンタクトがきっかけでいろいろやべえ!となるわけだけど(雑すぎる説明)、それに対して人類同士のアレコレもあるし、地球外文明とのアレコレもあるし、どうすんのこれ!!という話が何重ものスケールに膨れ上がっていく。Ⅰを読み終えて、意気揚々とⅡに手をかけたら登場人物紹介の段階で「ええええーーーッ!!」となったりする。なんで!

読み進めていくにつれて「これいったいどうすんだよ…」「どうすんだよこれぇ!!」と声がバカでかになっていってしまう。Ⅲを読み終えたらⅠで起きてたことなんて、かわいいもんよ…とすら思えてしまうから怖い。思えば遠くへ来たもんだ……。

三体については下書きにおいたままの感想記事があるので、いつか仕上げたい…。読み終えた頃にはⅠ、Ⅱのことが遠い昔に感じてしまったりして筆が止まっていた。個人的にはⅡの展開が一番好き。Ⅲ読み終えた時の「言葉を無くす」感も忘れがたいけど。三体も読むOuter Wildsでした。ありがとうございました。

Outer Wilds

これらを読むきっかけとなったのが、Outer Wildsというゲームです。のめり込みすぎて、プレイ日記が大変なことになった。

この記事でも書いているけれど、Outer Wilds本当によかったです。これはSFですか?SFってなんですか?(ここに来て何を言ってるんだ?)

Outer Wildsというゲーム、物語がすごい!とか、このキャラクターがすごい!とか、そういうピンポイントなところだけでは語れない、「体験がすごかったわ…」になるんだろうな。だからこそ、クリアした人が「もう二度と何も知らない状態であの体験をすることができない」ことに絶望する。

未知を解き明かしていく体験、ゲーム側から導かれるのではなく、自分で点と点をつないでいく…もとい、「これが点である」と理解して、結びつけていく体験。仮説と検証と想像(妄想)…。宇宙の様々な星を飛び回る大きなスケールの中で、…いやあよくできてるんだよなあ。(レビュー記事書く依頼、永遠に来ないだろうな…)

SFは我々にロマンの余地を残す

ここまで書いて思ったのは、SFというのはスケールの大きさ、空想技術などによる「読者も空想できる余地」が非常に大きいのが魅力なのかもしれないということ。緻密に世界観や技術、人物を描写している。だからこそ「作品では描かれてないけど、こんなこと言ったりやったりしてるんだろうな」みたいな空想ロマンを描けるんだろうなぁ~~~と思った。

『三体』を読んだファンが書いた作品が公認となる、なんてまさにそういうことですよね…そんなことある???

三体X 観想之宙

《三体》の熱狂的ファンだった著者・宝樹は、第三部『死神永生』を読み終えた直後、喪失感に耐えかねて、三体宇宙の空白を埋める物語を勝手に執筆。それをネットに投稿したところ絶大な反響を呼び、《三体》著者・劉慈欣の公認を得て、《三体》の版元から刊行されることに……。

現時点ではまだ読めていない。せっかくなのでⅠから読み返してからにしようかな…。

 

ブログのお題を見て軽率に書いた結果、とてもふんわりとした記事になってしまった。軽率に書くのはいいけど、もう少しアウトプットぢからを蓄えていきたい。