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アニメ『オッドタクシー』感想(ネタバレ有)

あけましておめでとうございます。本年も当ブログをよろしくおねがいします。

年明け早々すごい作品を見ました。前々から評判は聞いていて興味があったので、年明けから1話、2話…と見始めて、三連休の2日目夜に4話から最後まで一気観して今放心状態になっているところです。三連休じゃなかったら倒れてた。

ご存知ですか?アニメ『オッドタクシー』。ご存知も何も昨年の春アニメで、秋には再放送もしていたのにお前は今更見たのかという話ですね、はい、すいません…。後述するkansouさんの記事でめちゃくちゃ気になってはいたんですよ…はい…。

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本記事はネタバレを含む感想になります。でごさんが「超おもしろかった…」と放心してることに興味を持った方は是非見てください。前知識なしに見る方が圧倒的に良いので、ここで引き返して見ることをおすすめします。アマプラで全話見ることができます。全13話、気づいたら見終えてますので…。

あらすじだけでも!という方は、以下あらすじを引用しています。アニメだけど小説のようで、だけどアニメにしかできない手法で描かれる物語です。

平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。
彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。

バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

TVアニメ「オッドタクシー」公式サイト 2021年4月からテレビ東京・AT-Xにて放送開始

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コミカルと不穏の高速ラリーに心掴まれる

「少女の失踪事件」きっかけで動き出す物語の中に、登場人物たちそれぞれの物語が派生して絡み合っていく。コミカルな会話劇かと思いきや不穏な展開が顔をのぞかせる。

不穏だけど動物たちのコミカルな会話劇のテンポでするすると頭に入ってくる。コミカルなんだけど「いやそれはマズいんじゃないのか…」みたいな展開もポンポン発生して次はどうなると気になってしまう。

そんなコミカルと不穏の高速ラリーが、あっちこっちいろんな登場人物の元で動き出して大変です。一体何がどうなるの…と夢中になってました。1話があっという間で次々見てしまう。この感覚、めちゃくちゃ気になる小説を読んでいる時の感覚に似ていました。夢中でページを捲っていく。

見終わった感覚が、めちゃくちゃおもしろいミステリー小説読み終えたときのソレに近かったんですよね。ミステリー読むのが好きな私の個人的な感覚ですが。でも小説では使えない、アニメだからこその技法で仕込まれたトリックがまぁすごいすごい。

大きな事件がある中で、あっちもこっちもで小イベントが発生していくのは、私の経験値では伊坂幸太郎作品に近いものがありました。ひとつの出来事が様々な角度で描かれて多層的になっていくのは、宮部みゆき『ソロモンの偽証』的だったり、明らかになるにつれて不穏になる感じは『杉村三郎シリーズ』だったり…。群像劇っぷりは恩田陸の『ドミノ』的なところもありますね。

フェアで巧妙に仕込まれた伏線、あるいはヒント

伏線という言葉の使い方には少し慎重になりつつ、伏線、ヒント、前フリ…。

・あのときは何気なく聞き流していた/見ていた要素が、後で振り返ると「これ実はヒントやん!」となること
・謎が明らかになった後で思い返すと、「あの発言は違う意味で言うてたんや!」と裏に気づくこと

この2つは違う性質だと思うのですが、これらの要素がどちらもめちゃくちゃ巧妙に仕込まれている気がします。

前者は「深く考えたらこれわかるやん!ちゃんと見てたら気づけてたやん俺!うわー!」と頭を抱えてしまうもの。例えば「俺は何に見える」の問いかけ、田中回でのインコやカーチェイス中に轢きかけた猫。(あの手の動物もいることへの違和感を抱けたはず)、CT画像…。一番大きな核の謎のヒントは最初から与えられていた。お嫁さんは早い段階から「もしかして…」と気づいていましたが(私は猫轢きかけたあたりで「あっ」となってた。インコ見逃してた…)

後者は1から振り返ったときの驚きがすごい。意味が違って見える、聞こえてきてこの作品の凄みが増していく。市村「前の方がよかった」発言とか「前の三矢のことかーッ!!」って気づいたらめちゃくちゃ怖くなりましたね。そういう背景が練り込まれた構成力…。

構成といえば、厳密に言えば伏線じゃなくて『前フリ』かもしれないけど、呑楽消しゴム、カポエイラなんかは「あのときのアレがこう活きてくるのね!」と快感を覚える要素ですね。このへんの配置と回収もお見事でした。俺はいつかカポエイラで白川さんが活躍すると思っていたぜ

好きなとこちらほら

・俺はいつかカポエイラで白川さんが活躍すると思ってたのよ!!
・みんなの小気味よい会話本当に好き。小戸川と白川さんの会話が特に好き。
山口勝平さんの熱演たまんねえな…
・俺も銃弾の弾数使い切ってるよな…と思ってたけど、ハッと「いや、倉庫で撃ったの違うんじゃない…?」となった瞬間にアーーーッ!となったよね。これは残ってるやつだ!!
・突然の田中回やばかった。徐々に徐々に感覚がおかしくなる恐怖。
・矢野のラップ結構好きです。
ホモサピエンスの「タイムマシン」通してみたいわ。めっちゃおもろいやん…。
ホモサピエンスの物語めっちゃよかったな…。ダイアンうますぎる…。
・たかしもうまかった…。
・被害者の写真を見た小戸川「違うなぁ…」でご「なるほどそういうこと!!!!」
・「オッドタクシーだ!」
・25日のカーチェイス。タクシーの入水と共にみんなそれぞれの思いが重なるのがよかったですね。「そうはならんやろ」と笑っちゃったりもしたけど、物語の締めくくりとしてすごくキレイでしたね。タクシーの入水とともに、いろんな人物の物語が収束する。スマホ、死体とトラウマの話の中で一人だけ唐揚げだったのギャグかと思って笑ってたけど、まさかあんなことになるとはね………。
・俺はいつかカポエイラで白川さんが活躍すると思ってたのよ!!(2回目)

最後の最後ーーー!!!!!

冷静に書いてるんですけど、最後マジでおったまげましたね。どう考えても大団円!!と思うやん。みんな落ち着くところに落ち着いた!!と思ったやん。

いや「結局誰が三矢さんを殺したんだろ…」とは思っていて、結局二階堂さんの回想では「既に死んでた」けど、そう思い込んでいただけオチとかかな?そんななー…と思っていたところに真相暴露ドンですからね。これも唐揚げちゃん(和田垣)の発言を遡っていったらヒントあるんだろうな…。

伊坂幸太郎作品に通じるみたいなの書きましたが、あのラストのドス黒さは湊かなえやダーク恩田陸宮部みゆきのそれですね…たしかにそうですね…kansouさん…。

www.kansou-blog.jp

オーディオドラマを聞いて


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これリアルタイムで聞いてたらまたおもしろかったんだろうなー…。おもしろかった。ペンの在り処気にしながらもう一周できますし、この発言の真意なんかも汲み取りながら見れそうですよね。

でも最後さあ。

えっそうだったのか!からのあっ!!!!!!!! あーーーーーっ!!!!!!!

気になること

・和田垣が矢野のスマホを小戸川のタクシーに仕込んでたけど、あの二人繋がりあるの?←コミカライズで補完されてたけど、「間違えて後ろのタクシーに乗りかけた和田垣に矢野が依頼した」だそう。確かに乗り間違えてたもんね。
・三矢が二階堂に呼び出された夜、和田垣はどうして先回りできてたんだろう。最初ペンで盗聴してたのが和田垣だったのかなと思ったけど、そうではないらしい。オーディオドラマで「呼び出された」みたいな話をしてたから、それかなあ?でもオーディオドラマの話は三矢が入れ替わった後じゃない?
・オーディオドラマの「せんこう」 って何
・背景ちょいちょいボケてたのはなんか意味あったよね、きっと。あれも一つヒントだったんだろうな。
・映画版ってなにやるのー!!!!!!!!!!!!
・真犯人突き止める話になるのかな。タエ子さん(死んじゃったのかな…)、長嶋(死んじゃったのかな…)のその後も気になるし、何より小戸川…。
・人間として見えるようになった小戸川は、和田垣を「以前乗せた人」と認知できてないのかな
・そうだとしたらピンチやんけ!!!!
・映画めっちゃ楽しみ!!!!!!

もう一周見ます

ちりばめられた細かいアレやコレを回収してみたい。そんで視聴組の方々の当時のツイートとかを見漁りたい。パッと検索して出てくる考察サイトがテンプレみたいなのばっかなので、ゴリゴリに感想を書いた記事が読みたいよお。

ODDTAXI ORIGINAL SOUNDTRACK(特典なし)