天穂のサクナヒメを初めてみたのは任天堂のインディーワールド。
なんだかおもろいもんが発売されるなぁ…と思うだけでしたが、まさかこんなにハマって記事をごりごり書くようになるなんて。嬉しい体験ができました。
今ではローンチトレーラーを見ては夫婦で「びゃわわわーん!!!」と泣いている日々です。本記事ではクリアをした上での総括っぽいもの(ネタバレ無)と、ネタバレダダ漏れの感想を書いていこうと思います。
今までの記事はこちらから。
- 毎日のご飯があなたを助ける
- キャラクターの良さと、絶妙なテキストと、のめり込むストーリー
- アクションの触り心地がまたいいのよ
- きついなぁと思ったこと
- ストーリーについて(ネタバレ)
- 登場人物たちについて(ネタバレ)
- 終わりに
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毎日のご飯があなたを助ける
稲作ばかりが取り上げられたり、稲作ばかりバズったりしているけど、そこだけじゃねェ!と。むしろこの、言葉を選ばずに言うと「ゲーム的にはめっちゃめんどくさい」稲作パート……スキップもできないそれを稲作以外の要素にめちゃくちゃ影響させている…つまりは「うまい飯を食うことで力が出る」という戦闘やストーリー上のアクセントに繋げていることが素晴らしい。
ここで手を抜くと後々の自分が困るし、みんなの食生活もちょっとひもじいよね…という気分になる。なぜゲームでここまでの手間をかける要素があるのか…そう思うこともあったけれど、手間をかけたくなる作りであること、手間をかければかけるほど愛着が湧いていく…この絶妙なバランスがとてもよかった。
1年目は大変だけど、その大変さを知ったからこそ、「その後」の成長や発展の素晴らしさが身にしみる。
農水省が攻略wikiなんてパワーワードがバズっていたけど、実際はゲーム内の農書や田右衛門のアドバイスでなんとかできるようになってます。(実行できるかはまた別の話)みんな話を聞きなさいよ。
ただ、農水省のページを始めとした稲作についての情報の見方が変わるよね。興味深く読めるようになる、というのは大きい。米の生育についての知識が変わる。おもしろい。
進むにつれて稲作も「できること」が増えていって稲作の大変さもだいぶ軽減されるし、田も広がり収量も増える。
最初のうちはめちゃくちゃめんどくさいんですけど、回数を重ねるごとに農技習得だったり、道具の開発だったり、どんどん楽になっていくんですよね。1年目で「はーめんどくせー」とゲームを投げるのは本当にもったいないし、そんな程度で「稲作がめんどすぎるゲーム」と評してはいけない…。
特に脱穀や籾摺りが簡単になっていく過程がめちゃくちゃおもしろいから楽しみにしてほしい。
少し話は変わりますが、農技や武技のフレーバーテキストはサクナ目線ですよね。このあたりのテキストも一つ一つがクスっとくるものばかりです。特に農技関連は「サクナも稲作楽しくなってんじゃねーかwwww」と言いたくなる。
最初のうちは米を加工するなんてもったいねえ…と慎ましく消費していた頃から、米を加工して麹をつくり、味噌を作り…味噌汁ができた!!と喜んだり…酒を作ったり…しまいには都への取引に米を送ったり…。生活が豊かになり、食が豊かになり、どんどん食事が楽しくなっていく。同時にサクナも強くなっていく。
まさに『毎日のご飯があなたを助ける』私が好きな、宮下奈都さんの作品の中にあるセリフのとおりだ。
毎日の献立を考えるのも結構難儀なんだけど、食材が増えると調味料が増え、調味料が増えるとできる料理が増え…というワクワク感が楽しめます。料理によっては食材の消費量がほどよかったり、腐る前にどうにか調理するか加工品を作るか、そんなやりくりも楽しい。めんどくさいなぁと思う人はとことんめんどくさいだろうけどね…。
料理の『旬』設定もおもしろいし、食材も季節によって取れるものがあったり、よく考えてるなぁ…と感心しっぱなしでしたね。
要望としては「いろんな肉を混ぜ込んだ料理」とか、すごい量を消費できる料理とかがあればよかったなーなんて思いました。
また、献立をセットした後に加工品を作ると、セットした献立がなくなる(必要食材が不足する)ことが序盤は結構あったので、そのあたりはわかりやすくしてほしかったかな…。
キャラクターの良さと、絶妙なテキストと、のめり込むストーリー
過去のプレイ日記でも散々言っていますが、この辺がどんぴしゃで好みなんですよね。
追放された時のふにゃふにゃ怠け者サクナと、いろんな事情をもった人たちとの共同生活。サクナは怠惰だし、麓の世からきた皆も一癖あり、時にギスギスした感じだし…。
稲作を真面目にやって、探索で島の謎を解いて終わりかなー。なんて、そう思っていた時期が私にもありました。ところがどっこい。中盤~終盤でべちゃべちゃに泣いた。
頭身もほどよくかわいいし、会話も小気味よくギャグを織り込んでくるし、ただシリアスな展開はがっつりシリアスで。神は神でもリスペクトされないサクナですが、生活を一緒にしていく中で、生きるために米を作り、みんなで協力しながら生きていくなかで変わっていく関係性と、それぞれのキャラクターの変化が、とても丁寧に描かれています。
びゃーっとクリアを急いで米作りや食事をおろそかにすると、この感動は味わえないかもしれないけど…。毎年(一緒にプレイするお嫁さんと)稲作会議しながら過ごしていくことで、我々も彼ら彼女らへの愛着が根付いていきましたね。ずっと生活していたい。
大神が好きな人には刺さると思うんだよね…神話的な話もそうだし、この愛くるしいキャラクターたちや軽快なテキストは、大神好きの私にとても刺さりました。逆にサクナヒメ楽しめた人は大神も絶対楽しいと思う。現行機で遊べるし、ベスト盤価格で異常に安いので買ったほうがいい。こんなに安いのにべらぼうに遊べる要素がてんこもりなのでお買い得にも程がある。私は大神でもべちゃべちゃに泣いた。
アクションの触り心地がまたいいのよ
この記事でも書いたんですが、アクションが楽しいのですよ。
吹っ飛ばして巻き込んでの稲作殺法!!!/『天穂のサクナヒメ』プレイ日記その5 - DegoReco
サクナヒメアクションの気持ち良いところの一つは「衝突(吹き飛ばし)」の強さ。下手に直接殴るよりも、敵同士をぶつけさせた方が有効だったりする。 pic.twitter.com/JHLnqGKu2b
— でご (@dego98) 2020年11月19日
羽衣が届くリーチだったりとか、連続して使えるのは2回までとか、羽衣の方向が暴発するとか、技ゲージすぐ減るやんけ!とか、慣れるまではちょっとクセがありますが、「変に方向キーを入れずにまっすぐ打つ」とか「斜め羽衣角度に慣れる」とかすると、爽快なアクションが待ってる気がします。変に斜めに羽衣出すより、上と左右に伸ばす感覚とその距離を掴むとグッとやりやすくなると思う。
あと、羽衣技を覚えた後は「羽衣を出したらRをすぐ離す」のか「押しっぱなしで羽衣技を出す」のかでアクションが変わるので、これも意識するとだいぶかわります。羽衣技覚えたらR押しっぱなしにしがちなんですよね。パッと羽衣で位置を転換するのも駆使すると戦闘が楽しい楽しい。
飛燕を覚えてからは羽衣で移動したり飛燕で切り替えしたり、羽衣技の風車で空中の敵を捉えてぶん回したり…。
ボタンを押してからのレスポンスとかもチューニングすごい気がする。触り心地がめちゃくちゃいいです。その分ガチャガチャ押してると余計な一手が出てしまうことがあるので、思ったとおり動かすまでは練習が必要。でもガチャガチャ押しててもそれっぽいアクションができる絶妙な感じ。
気持ち良いアクションができた動画を載せたい。(戦闘に夢中で録画を忘れがち)
きついなぁと思ったこと
「この素材・食材はここで拾える」というのをパッと確認できたら便利だったなぁーというのがちょくちょく。ステージ選択すると「ここで取れるアイテム」は見えるのだけど、必要なものが明確なときにいろんなステージを見て回るよりもアイテムから逆引きして「ここにあるよ」がわかると助かった。
ステージにある表示は表示で1回こっきりしか入手できないアイテムも引き続き表示されたりしてややこしかったような。
あとは…地形ダメージがきっつー!というあたり。いや地面の棘キツすぎる。西の砦エリアのステージは結構地形がキツかったなぁ。敵をぶつけても大ダメージなので一長一短だけど…。戦闘難易度下げるとそのあたりが軽減されるということなので、まぁそういうことか…と理解した。
欲を言えば普段のタマ爺のコメントはもっとバリエーションが欲しかった(笑)都と取引するまでは特に同じことしか言わないし悲しい…となった。タマ爺に限らず状況に応じた会話バリエーションがもっとあると嬉しいなあ。
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ストーリーについて(ネタバレ)
ここからはネタバレを含むよ!!!
最初はサクナも生意気ちゃんだし、きんたたちも反抗的だし、どうすんのよコレ…と思ったりしていましたが、最終的にはもう愛着が湧きまくりでしたね…。
単純に島の鬼たちを退治する話と、都での不穏な動きが絡んでいく話かなと思ったら島は島でえらいことになるし、都は都でココロワが大変だし、ヒノエに紛れ込んだ石丸が大変だし、そもそも田右衛門たちそれぞれのエピソードもあるし奥深いものでした。食卓で語られた話とか、最初は「ふーん…?」みたいなのもあったけど、今読み返すともっと理解できるんだろうなあーーーーーーというのがいっぱいある。サクナ両親エピソードとかもう一度聞きたい。
徐々にみんなのこともわかるようになり、ヒノエの生活にも慣れてきたところでの大龍復活、火山と鬼の襲撃による壊滅…。いやめちゃくちゃ落ち込んだ…。大龍に立ち向かうにはタマ爺を失うかもしれない…というところでまず泣いたし…帰ったら壊滅してて追い打ちをくらった。どうすんねんこれ…
そんな中ですよ!!!ここからの怒涛の展開が神がかりすぎてちょっと大変でした。
都にいるときも田んぼが気になっていたサクナが、もう島での生活を守りたい思いが溢れているあたり…神としての自覚と使命を抱くあたりがもうね…
そしてなにより!1年目の冬の、テグサリ団子のエピソードがまさか希望の狼煙を挙げるエピソードになるなんて思わないじゃないですか…
あの時の辛さを笑い話に昇華できるなんてね…。すごくよかった…。
そこからの復興への道、復興どころか今まで以上に力強く生きていく皆とのエピソードは本当に愛。愛ですよ…。ココロワが大活躍するのも良い。ココロワのその後について語る続編を楽しみにしています。
それにしても…それにしても熱演がすごいんだよな…本当に泣かされる。兎鬼関連あたりのエピソードは本当に鬼気迫るものがあった。タマ爺が強い言葉でサクナを諌めるところとかね…
サクナが島を、みんなを守りたいという思いが強くなると共に、大龍を倒すためにやらねばならぬこと…の悲壮感が一層強まっていって、プレイヤーとしてはもう堪えられなかったですよ…
覚悟を決めた後、めちゃくちゃ難しいダンジョンが続いて、いよいよ終盤か…!と思っていた矢先に見えた新しい希望。あああああよかったねえ、よかったねえ!!!とまた泣かされた。
築き上げてきた暮らしがあって、それが破壊されて。皆の力を借りて再起の道を歩み、唯一抱えていた憂いも晴れ…最終決戦への思いがどんどん強くなる。
サクナの思いは皆の心にもしかと届き、敬う気持ち…あるいは信仰心を育んでいく。序盤にタマ爺が「人に信心があってこそ、わしら神には神気が宿る」と言っていたが、信心は一方的なものではなく、お互いに恩恵をもたらすものである。
あとはもうこの記事で語ったとおりかな…田植唄を聞くだけで泣く体になった。
最近の旬ネタはサクナヒメの田植唄をどちらかが歌うと感動を思い出してびわわわーん!と泣くヤツです
— へなこ (@0zrs0) 2020年11月22日
登場人物たちについて(ネタバレ)
田右衛門
刀も使えないし、田植えも知識だけでロクにできない。頼りにならない男よのぉ…と思っていましたが、根の優しさと、みんなを守ろうと思う責任感。サクナがどんだけキーキー言うても怒らずに、諭すときは諭してくれて、心も体も大きく、どんなことがあっても前向きにことを進められる男でした。これが田右衛門の強さだよ。1,2年だけ遊んで田右衛門ディスりまくるプレイヤーがいますが、知識はあるからちゃんとアドバイスは聞いてくれ。
きんた
きんたとサクナの関係性向上が一番グッときたなぁ。ぶーぶー言うサクナに対して一番反発し、「敬いたくなるほど稼いでみろ!!」とサクナを神として認めなかったきんた。
鍛冶を通じて「自分のやりたいこと」を見つけていくきんた。麓の世で誰も味方になってくれない辛い思いをしてきたけど、ここで「自分のできること」が見つかったきんた。麓の世にはろくな事が無いと思っていたけれど、自分の知らない世界があるかもしれない、という希望を見つける。
きんたが活き活きとしていく過程もこのゲームの見どころですね。
ゆい
ゆいは単なる「いい子」枠なのかなーと思ったら、かいまるに対して厳しい態度をとったり、仕事をほっぽらかしたり、きんたを追い回したり、自分の過去は語りたがらなかったり、ちょくちょく謎を抱えている子でした。
複雑な思いを抱えたりしていたけれど、とはいえやっぱり可愛い子だった。かいまるやかっぱたちとの通訳ができるのは貴重な存在で、不思議だけど、かわいいのう。方言がかわいい。
それにしても…ゆいさお前鶴だったのけ!!!!!!(お嫁さんは早い段階で気づいていたらしい。でご、にぶすぎるな??)
確かに鶏肉を食わなかったり、機織りの場面を頑なに見せないでいたり、きんたに助けられた話を語らなかったり…。動物の言葉がわかったり…
ミルテ
最初は明るく元気な外国の人だなぁと思っていたら、ここに至るまでの話がめちゃくちゃに重たいミルテ。
宣教師として旅をしてきたものの、ヤナトという異国の地で辛い思いをしていました。それでも強く生きてきているのは、信じる神がいるからか。田右衛門たちと出会ってよかったねえ…。
異国文化をただ否定するわけでもなく、ただ疑問に持つことは率直に疑問を持ち、自らは自らの信じる神を大事にしながら、様々な考えが「ある」ことを捉えていく。
プロローグの段階でミルテが後世へ伝える書物を書いているあたりから、いずれ別れがくるのだろうとは思っていたけれど。ミルテがふと自分の使命を思い出すエピソードにはグッときた。
辛い思いをしてきた異国で、でも悪い人ばかりではないことを信じ、出会い、とても楽しい生活を送っている。家族のような仲間もできた。でも、自分には自分にしかできない使命がある…。「ああそうだ、ミルテはそうだよな」と。ヤナトの言葉はうまくなったのかよくわからん。
かいまる
喋れないのは親が殺されるのを目の当たりにしたショックによる後発性のものだった。という能天気かわいいキャラに見えて一番重たいエピソードをブチ込んでくるかいまる。
無邪気にてちてち歩き、はしゃぎ、よく泣き、動物たちをはちゃめちゃに連れてくるかいまるに癒やされたプレイヤーは多いのではなかろうか。
その純粋さは初期のギスギスした感じの中の癒やしであり、ときにその純粋さからトラブルが発生したりもしていたけど…かいまるを中心に皆が一致団結したことも多くありましたね。
採集が解禁された当初「かいまるを一人で採集に出すなんて危ない…!」と躊躇したプレイヤーは多いのではないでしょうか。私はそうでした。出せば出すだけ動物を連れてくるかいまる、彼が動くと癒やしが増える…なんということでしょう…。
動物の気持ちも、人の心もわかる子。ヒノエの生活によって神的な力をぐんぐんと伸ばし、心だけで旅ができるようになるかいまる。
サクナが羽衣の力とひきかえに異界に生きかけたとき、迎えに来てくれたのはかいまるでした。迷子のかいまるを探しに行くのがこちらの役目だったのに、最後は逆転しましたね。まあ、「連れて帰る」という意味合いでは変わっちゃいないんですけど。
ココロワ
冒頭の「何もがんばらないけどいい目を見ているサクナ」に対する嫉妬か、「がんばっても評価されない」歯がゆさか、闇落ち待ったなしだと思ったら案の定闇落ちしてしまったココロワ。でもその心には迷いがあって、心からサクナを陥れようと思ったわけではなかったのには救われました。心のすきを突いた黒幕については本編では語られなかったので、続編かスピンオフを楽しみにしようと思います。
ネタはある程度決まってるんですが、やるとしたら続編かスピンオフになると思います。
— こいち (@y_koichi) 2020年11月23日
なんといってもココロワ、仲直りしてからお笑い担t…ゴホン。聡明な感じがとても頼りになります。続編かスピンオフではココロワのものづくりパートと、作ったカラクリでのタワーディフェンスパートが繰り広げられるのではないか、と勝手に妄想をしております。
ココロワがヒノエを訪れるようになってからのヒノエパート、おもしろさが倍増する。
タマ爺
サクナをずーっと育てて、ときに甘やかしすぎたり、諌めたり。最初のころは神として敬わない人の子たちにも「メッ!」と(舌をぺろっと出しながら)威厳をしめしていたけれど、信仰心を育むには今の世も神もちょっとね…みたいな麓の世の事情を知るに、サクナ自身のがんばりもいるよねー…という感じに。
タマ爺の真の姿…星魂剣を新しく打ち直さなければならない…(=現タマ爺を失うことになる)とわかったシーンは衝撃でした。ナビゲート役おじいちゃんだな~~と思っていたら、めちゃくちゃ重要な役回りを務めるキャラクターだとは!!!
辛い過去などもありつつ、基本的にコミカルなトーンで来ていたストーリーがいきなり「うぇえええええ」となったあたりが衝撃でしたね。読者各位も薄々察していると思います、その事実が明らかになったシーンのスクショが異常に少ないということ。
衝撃的すぎてスクショなんて撮ってられなかったんですよねー……。
今まで紹介してきたメンバーもタマ爺もサクナも、ほんと声優さんの演技がめちゃくちゃ良かった…。タマ爺のしっかりした戒めやのんびりした語りや、喝を入れるような場面や……覚悟を決めたサクナとのイベント…
エンディングでは元の主であるタケリビと再会し、たっぷりと労ってもらえる。タマ爺も主を失い、たった一人(一匹?)でサクナを育ててきて、大変だったんだよね……。そのシーンのタマ爺の報われた感じもとてもよかったです。
サクナ
顔芸姫、駄女神、文句ばっかりの怠け姫…そんなところから始まったこの物語でしたが、なんということでしょう。サクナが「サクナヒメ」としての成長を遂げていく過程がこんなにも感動的になるなんて。
怖いから戦いたくない、しんどいから米作りなんてやりたくない、ひもじい食事は嫌だ…。と文句ばかりで、でも神としての威厳ばかりはたっぷりで。
田右衛門やきんた達に対しても「トラブルを招いた人間ども」という感じだったのにね。自分で米を作り、生活を営み、できた米を食い、みんなのトラブルも解決し…。
とんでもない敵が現れて、タマ爺も失うかもしれない事実を目の当たりにして。それでも「この日々が好きじゃ」と。それを守るには神である自分ががんばらないといけない、と。
大龍なんてとんでもねぇ敵を倒すには、星魂剣を打ち直さないといけない…ということは、誰にも告げなかったんだろうなと思います。強大な敵のことは我が胸に秘めて、失った豊穣の力を取り戻し…峠を再建し…ようやく覚悟を決める。
この記事のちょっと前でもこのあたりは書いたんですけど、やっぱりこのあたりは何度も語らずにはいられないんだよね…。うう…
悩みに悩んで決めたからこその、大丈夫とわかったときの決壊具合がね。ドバドバだよね。
終盤、このままの暮らしが続くわけではない。サクナの勅令が片付いた後、皆の進路について話していくイベントも切ないものがある。
サクナに帰るべき家が見つかったのと同じく、みんなにもみんなの「今後」がある。残る者も居れば、麓の世でやるべきことが残っている者、新たに見つけた者もいる。
それぞれのキャラクターの思いを直接聞いたり、話しているところに遭遇したり。そういった見せ方もうまかったです。
実は!祭ができるようになってすぐに祭をしてエンディングを迎えてしまいました。なので、みんなのその後には超びっくりしちゃって…。
建物の再建や豊穣神の力が戻ったあたりで、みんなのエピソードが語られるようになるんですよね。急がずにゆっくりみんなの話を先に聞いておけばよかった。まあ、この順番で聞けてそれはそれで思い入れが増しましたけど。
「日々の戦い、そして人の子らとの暮らしの果てに何を見るのか」
まさにこれですよね…
こちらの心も清々しくなるエンディング。食の豊かさが世に広がることが、争いをなくすことに繋がるわけですよね…。
終わりに
いやー…。
ほんと、稲作に力が入ってるなんて「いい意味でぶっ飛んでるゲームだな?」と思って始めてみたら、思ったよりコミカルでテンポがよくて、でも実は重たい話もあって、稲作は予想以上に奥深くて、アクションの手触りはよくて、そして…そして…想像以上にストーリーが良くてべちゃべちゃに泣くという…。
ほんとにインディーゲームなの?というクオリティなんですよね…。グラフィックも音楽も素晴らしいし。いろいろな要素があるんだけど、それらのバランスも絶妙によくて飽きさせないし。やり込めばやり込むほど愛着が湧いていくゲームでした。
食べる料理によって翌日の肥料にも影響するとかそんなことまで考えてんのかよwwみたいなのもあるし。
本当に楽しいゲーム体験でした。幸せじゃ~。クリアはしたものの、米作りに終わりはないので、(格もまだまだ上げられるし…)このゲームを余すところなく長く長く楽しんでいこうかなと思っています。
画集同梱版を買えばよかった、とかサントラ付属版を買えばよかった…ともだもだしている。公式画集とサントラの発売を心から期待しています。