本記事は週刊少年マガジンで連載されているDAYS、10/2日発売号のネタバレを含みます。単行本派の方はご注意ください。
ちょうどこの最新巻最終話の話題です。
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つくしがゴールを決めた。
サッカー漫画で、主人公がとうとうゴールを決めた。これだけ聞けばなんじゃそりゃだ。
でも我々は知っている。つくしは簡単にゴールを決められるプレイヤーではない。誰よりも下手くそで、誰よりも勝負に弱くて。誰よりも努力をして、誰よりも不器用で、誰よりもひたむきに走って、誰よりもチームに貢献したいと願って、…そんなつくしを誰もが見ていた。
313話、つくしがシュートを決める瞬間を、来須の心境で追いかけるのが良い。一緒に練習をする中で、最初にぶーぶー言っていたのが来須。一緒に練習をする中で、つくしによく絡んでいた来須。京王河原戦後、「今日のあいつはすごかった」と評した来須、がんばったけど結果が出せず悔し涙を流したつくしを見ていた来須。梁山戦前、つくしの様子が異なることにも気が付き、梁山戦のハーフタイムでは、つくしを自分がどう思っているのかを伝える。
「俺からするとさ、柄本。劣等感でいっぱいだったよ。お前にはずっと」
DAYS 199th day「勇気と努力」(23巻)
この作品は、つくしのひたむきな努力をずっと丁寧に書いてきた。
生方の言葉を借りれば、つくしはコツコツと積み木を並べてきた。「走る」という土台を誰よりも着実に積み上げ、トラップの仕方、マークの外し方、そしてシュートといった要素を積み上げていく。
つくしのひたむきな努力と、そして、それを見てきた仲間も丁寧に書いてきた。
すぐに結果が出るわけではない。高校から、運動神経もほとんどなく、初の運動部でサッカーをはじめたつくしが、強豪校相手にすぐに結果が出せるわけがない。だけど、「自分にできること」をひたすらに追い求める姿をチームメートも見ている。
インハイをかけた桜高との試合では、決定機のゴールを決められず敗戦した。
青函との練習試合で初ゴールを決めたことがあった。
非公式ではあったけど、初ゴール。風間とプチ喧嘩をしたあとの、決勝ゴールだった。これはどちらかと言えば、風間との確執を解消するタイミングの演出にも近かった。
とはいえ、チームの進退がかかる公式戦でゴールを決めることはなかった。
その後の京王河原戦ではゴールを決められず悔し涙を流した。全国を決める東院戦でも決められず、途中交代もした。
全国の舞台でもなかなか結果は出ない。「自分は走るしかできていない」のに期待だけが大きくなり、プレッシャーに逃げ場がなくなると追い込まれている心境を吐露する場面もあった。
何度も言ってるけど今週のDAYSすごいよ…先週の時点ではタイトルが「月下告白」なんだけど、いざ今週になったら「血を吐くように」だよ。このタイトルはすごいよ。ここまできて、ここまできて、つくしが語る今までの奥底にあった思い。表面にあったひたむきさの裏にある孤独
— でご (@dego98) October 5, 2016
チームメートも、読者も、「つくしのがんばり」は見ていた。だけど結果がでない。なんなら、つくしはとても苦しんでいる。
チームメートも、読者も思っていた。「つくしのがんばりが報われてほしい」
作中、聖蹟メンバーがつくしを認め始めていくのを、ずっと見ている読者も見守っている。「そうだよな!」と読者も膝を打つ。仲間や、時には敵チームがちゃんと見ていることが嬉しくなる。
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京王河原戦後の来須たちのやりとり
全国初戦、由比ヶ浜戦を見ている青函の分析
梁山・加藤のつくしへの評価
全国に応援に来た京王河原の甲斐と丸の応援
転校した笠原先生が、つくしの成長に流す涙
一星戦で、必死に走るつくしの姿…
そして、梁山戦での臼井の、チームメートのこの話。
はぁー今週のDAYS何度読んでもやばい。いいです?つくしの成長と「いつかくると思っていた。こんな日が」のチームメンバーの認識、臼井が顔を上げてからの水樹の1ページ。そして最後のつくしのトラップ。ああーはやく続きが読みたい
— でご (@dego98) December 27, 2017
313話。公式戦で初めてゴールを決めたつくし。
そして迎えた314話。ゴールを祝う場面だけの1話。これは素晴らしい決断だと思う。
「ゴールを祝うだけで1話を使ってくれてありがとう」と言いたくなる。それだけ意味がある。
「聖蹟であいつがゴールを決めて 心が動かない人間なんていませんよ」
DAYS 314th day ゴール後の祝福 マガジン44号
みんなが自分のように喜んだ。「お前にゴールの喜びを知ってほしい」と言っていた灰原先輩がまず雄叫びを上げるのが、また嬉しくなる。
聖蹟のみんな、観客席にいる過去に対戦したチームメンバー、チームを去った先輩、両親、みんなが祝福している。こんなに嬉しいことはない。読者も報われた瞬間だった。
…さて。
練習試合でのゴール時に、風間は試合に出ていなかった
今回はそもそも会場に風間がいない
風間きっかけで始めたサッカー。風間が一番つくしを見守ってきた。
風間が、つくしのシュートを一緒に喜ぶシーンを…
つくしが、風間と一緒に出る試合でシュートを決めて喜ぶシーンを、読者は心待ちにしている。