今冬より、テレビアニメ「シンカリオン」が始まりました。
作品自体楽しく見ていたのですが、西日本に住むものとして、これはうまいなー!JR東日本!(というかジェイアール東日本企画!)と思うことが たくさんあったので、ちょっと纏めてみます。
ブランド力がすごい!シンカリオン!
シンカリオンはジェイアール東日本企画・タカラトミー・小学館が組んで作り上げているコンテンツということですが、実際の新幹線が変形ロボとして活躍するという、その時点でもう強すぎるでしょう。
"一般名詞としての電車"ではなく、固有名詞としてのE5系だのE6系だのを変形させてコンテンツにしてしまうのがニクいところ。
電車をテーマとした戦隊モノ、トッキュウジャーさんのように架空の鉄道を導入するのではなくて、自前の新幹線コンテンツで勝負できてしまう。
新幹線自体、すでに一定層のファンを獲得できているコンテンツですし、そもそもファンじゃなくても、利用者は多い。そういった方々に「これ、アニメでは変形するんスよ」ってすごくないですか。生活や観光の中にすでに紛れ込んでいて、触れているものが、アニメ作品として更なる活躍の場を広げるっていう。
それに加え、プラレールで電車ファンの子や大きい子どもの心を掴んでいるタカラトミーさんが加わって変形ロボ化させてしまうのも強い。小学館さんも組んでるのでコンテンツの育て方も上手いし、そこに広告大手のジェイアール東日本企画。そもそもJR東日本のグループ会社なので、鉄道に関するプロモーションこそ得意分野そのもの。
おもちゃとしては、すでに東海道新幹線や山陽新幹線、九州新幹線の機体も登場しているのが素晴らしいですね。アニメでもN700Aなど登場するようなので、東日本管轄だけで囲い込むわけではないようです。(そらそうか)
聖地巡礼の意味が広いぞ!シンカリオン!
何が凄いって、これ、「聖地巡礼」って言葉ひとつが
・作中に出てくる新幹線を観に行きたい
・作中に出てくる新幹線に乗りたい
・作中に出てくる場所に行ってみたい
これら全部につながるんですよね。
シンカリオン→新幹線 のファンも増えるでしょうし、それがグッズ消費という形にも、乗車という形にも、観光という形にもつながっていく。親子需要がどんどん増えていく。
注目すべきは全国放送ということ。3話の時点では東日本領域だけで、東日本メインの新幹線が筆頭に活躍しており、東日本エリアの人には慣れ親しんだ光景がアニメに出ているおもしろさを与え、東日本以外の方々に対しては東日本エリアの周知をしている。西日本に住んでいる私が、地上波でJR東日本のCMを見るなんて…。憎いのが、新幹線のかっこいいCMをやってるんだよな・・・。現物を見たくなるに決まってるじゃないか。東海道線で東京に行くだけでは見ることが敵わない、東北新幹線を走る5〜7系の勇姿…
いろんな発展性があるぞ!シンカリオン!
一番わくわくしているのは、その発展性です。
鉄道博物館でコラボイベントなんてのは既に行われていますが、(京都鉄博でも実施していたのはウケました。設定を見たら、各エリアの鉄博の地下が基地ということなんですね)
上であげたように、見る 乗る 行く の要素が詰め込まれているため、そこに絡めたコンテンツはますます増えていくと思います。
一番わかり易いのは観光まわり。「行くぜ、東北。 with シンカリオン」ってのもできますよね。
少し話題が変わりますが鉄道事業においては、少子高齢化に伴い、「通勤、通学で定期を買う人」が自然に減っていきます。定期券の収入って結構馬鹿にならないので、それがどうあがいても減るのであれば、「日常使用」「観光使用」での鉄道収入獲得が急務。(それと、鉄道以外の事業の拡大も重要。これは別の話)
「目的地へ行くための手段」としての鉄道だけでなく、「乗ること」へのバリューを持たせているのが、ここ数年の観光列車の台頭から見ることができると思います。
観光も、車や飛行機で行ける時代に新幹線を選んでもらう必要があります。安全性や利便性の追求が大前提としつつ、「あえて乗りたい」と思わせるコンテンツ力をもたせることも重要で、シンカリオンはその一翼を担うに値するんじゃないかなぁ・・。
3話の時点で、秋田に行って新たな仲間と出会うわけですが、そこで紹介する秋田の風景や名産・観光地…って、観光地のPRを長いことやってきたノウハウがあるのでうまいことうまいこと。行きたくなるよね。
「E5系で行く、◯◯の旅プラン」(限定シンカリオングッズ付)という親子向け旅行商品が出そう…出てるんじゃない?
鉄道事業とコンテンツ事業の相互作用と拡散作用が容易に想像できて、「あんなことできるんじゃね?」という可能性がやたらめったら広がっているので、今後どんなイベントがあったりするのか、楽しみです。
(今のところ、西日本に住んでいるとその情報は勝手に入って来ないですが…東日本だと結構な頻度で既に行われているんじゃないか…?)
アニメ作品として純粋に楽しめる上に、そのモチーフが現実にあるものだからこそ、今後どんなことをするだろうなー!と、現実世界の楽しみも広がっています。
ところで、西日本にはカンセンジャーという新幹線ヒーローがいまして
マナー啓発活動を頑張っており、割と山陽新幹線エリアでのイベントがちょいちょいあるようです。オリジナルアニメコンテンツもめっちゃあってびっくりした。