DegoReco

でごのつづるレコメンド。レコード。おすすめと、記録。

はじめの一歩 1202話「終局」 /最後のカウンターは、デンプシー破りの最悪の形として振り抜かれた

前回の一歩から休載を挟んで迎えた1202話。

「終局」と題されたこの話は、デンプシーロールと共に歩み始めたときから潜んでいたリスクが表にでた話となりました。前回に引き続き、単行本派の人にはネタバレとなります。

 

デンプシーロールは、被弾の多い一歩が「守りながら戦う」ことを意識してたどり着いた一つの答えでした。
何かを手本にしたわけでもなく、暗中模索の中見出した一つの答え。

相手の攻撃をかいくぐりながら追いつめ、左右からの嵐のような連打を叩き込む必殺技、デンプシーロール

その後の千堂とのタイトルマッチでは、「相手が向ってくることでデンプシーが封じられる」こととなりますが
「デンプシーを出す前」の下準備…フェイントを織り交ぜたリバーブローガゼルパンチ→デンプシーの流れにより、デンプシーを叩き込むことに成功します。

デンプシーはその単独技ではなく、一連の…それこそ一歩が磨き上げてきた
インファイトの立ち回りによるプロセスにより、相手を後退させるほどの勢いをもってこそデンプシーは「完成した」と言われていました。


その後、「デンプシー対策」として、島袋は「捨て身の相打ち」で戦い、カウンターの名手・沢村に至っては「カウンター」でデンプシーを破ろうと試みます。

丸裸にすると、「左右から高速でフックを繰り返す」デンプシーロールは、カウンター使いからすれば格好の的。

沢村戦で、デンプシーは完全に破られます。沢村の左カウンター、右カウンターもモロに食らってしまう。
この試合は沢村の凶悪さも相まって、試合前からの空気が緊張していて、連載中嫌な汗をかきながら読んでいたのを覚えています。

デンプシーに全力のカウンターをぶつけられると、下手したら選手生命の危機…あるいは、死が待っている。
そんな恐怖を丁寧に丁寧に描いて試合の雰囲気が醸成されていきました。

事実、デンプシーは破られ、全力の右カウンターもぶつけられましたが、一歩が「デンプシー破り破り」(回転を途中で止め、タイミングをずらす)に挑戦していたことでカウンターのダメージを和らげることに成功していました。最終的にはデンプシー破り破りが決まり、沢村との死闘を制しました。

この試合で重要なポイントは
・全力のデンプシーに全力のカウンターを食らうことは致命的だ ということ。
沢村戦では前述のとおり対策をしていたため、かろうじてそれは免れていました。

カウンター使いが予期せぬ動きをもたらすデンプシーが完成すれば…という期待も同時に生まれます。これが、横の回転に縦の回転を加える、新型デンプシーへの布石です。


その後、一歩は「デンプシーに頼らない戦い方」として、純潔のインファイターとしての能力を高める方向へ向かいます。
唐沢戦ではデンプシーを封印して、距離をとって戦うアウトボクサーの唐沢を完封します。

この転換は、「デンプシーにつなぐための」布石を強化するためです。

同時進行で、デンプシーに縦回転を加えることで生じる多大なる負荷をクリアするために、下半身の強化を進めます。
ここに「鴨川会長と作り上げる」という意識が入ります。
すなわち、鴨川会長が仕込んでいるメニューにそのヒントがあり、一歩がそれに気づいて新型への道を突き進むという展開です。

 

さて、ようやく今の話に追いつきます。

 

読者としては、それを実践公開する場としての位置づけとなった今回のゲバラ戦。

一歩としては、…前回の記事でも述べたとおり「自分に起きた異常を認め、最後に会長と作り上げた新型デンプシーを披露する」という悲願達成の場として
位置づけられていたことが明らかになりました。

終始新型デンプシーの披露に頭がいっぱいの一歩。そこには、先に述べた「デンプシーまでにつなげる」といった連携技の一環としての在り方はなく
無理やり必殺技を出そうとする不器用な姿にしか見えませんでした。「基本に忠実に。」これをずっとずっと教えられていたはずなのに。

そこで語られる1201話での独白。最後に披露したいという決意を胸に秘めていることが明らかになる。

そして迎えた1202話。

 

ゲバラに残った最後の力…「利き腕での最後の一振り」が、一歩のブレーキを踏まない全力のデンプシーにカウンターとして突き刺さります。

手を出そうとする一歩の体から力が抜け落ち3度目のダウン。試合は同時に終了します。


伊達に負けて、会長も過労で倒れ、失意の中で生み出した希望の光、デンプシーロール。一歩の象徴ともいえる武器は、様々な対策をされる中で、付き合い方を変え、さらに進化させてきました。

一歩が自分で作り上げたことに対して、会長の心に宿った「希望」
会長はそれをさらなる無限の可能性を描く武器に仕上げていきました。

何の悲劇か、一緒に作り上げたそれが、人一倍思いやりがあり、愚直な一歩にとって「会長と作り上げた集大成の武器」として恩返しの手段に昇華し
…今回の敗北へとつながってしまいました。

 

思えば、伊達に負けた復帰戦で見せたデンプシーロール

この試合も、ゴンザレスに負けた後の復帰戦での新型デンプシーロール

前者は希望を、後者は絶望を。敗北の後の試合こそ秘めたる思いは強く、だからこそこの結末は重たい。

 

はじめの一歩(24) (講談社コミックス)

はじめの一歩(24) (講談社コミックス)

 

(デンプシー初披露) 

はじめの一歩(54) (講談社コミックス)

はじめの一歩(54) (講談社コミックス)

 

( 激闘の沢村戦)