近年、書店員さんたち自身が「売りたい本」「読んでもらいたい本」を推薦して取り上げることが多くなっているように思います。
現場の店員さんからの発信というのは、出版社からの推し方とはまた違って面白い。
そんな中、紀伊國屋が展開するキノベスが発表されました。
紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする 「キノベス!2016」 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
「キノベス!」は紀伊國屋書店スタッフが自分で読んでみて面白かったのでお客様におすすめしたい本を選定(※)するものです。本年度のベスト30と第1位に輝いた宮下奈都さんのコメントを紹介します。
※2014年12月以降出版された新刊(文庫化タイトルを除く)の中から、ベスト30を選定。
以前ブログでも紹介した宮下奈都さんの著作「羊と鋼の森」が、キノベス2016の第一位に輝きました!
紀伊国屋グランフロント店での展開の様子がこちら。
(写真撮影・掲載は店員さんに確認とりました)
『羊と鋼の森』でキノベス1位に輝いた宮下奈都さんの特別寄稿が読めます(素敵な笑顔も合わせてどうぞ! https://t.co/HdzxFmDAUL
— 紀伊國屋書店グランフロント大阪店 (@Kino_GFOsaka) 2016, 1月 26
店頭での「キノベス!2016」フェアと冊子の配布は1/29(金)より開始しますので、是非お近くの店舗へ足をお運びくださいませ!
紀伊國屋グランフロントさんは、羊と鋼の森刊行記念サイン会も実施してくれたり
結構宮下さん推しが強いイメージがあります。好き。
いろいろな気付きを与えてくれる、と紹介しましたが
キノベス受賞コメントでも気付きをたくさん与えてくれたので紹介します。
私の小説は、ささやかで、大きなことが何も起こらない、とずっといわれてきました。そうか、そうなのか、と思っていましたが、十年書いておぼろげに見えてきたことがあります。小さなことと、大きなこと。どちらが大切で、どちらが尊いか、くらべる必要はないのです。ひとりの人間の中に変化が生まれる。それは、小さなことでしょうか。他の誰かから見れば、どうということのない、もしかすると気がつかないくらいのことかもしれません。でも、本人にとってはぜんぜん違います。
(中略)
この『羊と鋼の森』でも、大きなことは何も起きていないといわれるならば、この世に起きていることって何でしょう。人が生きていくこと以上の物語がどこにあるのでしょう。
私は今まで、「物語が大きく動く!なんてことはないけれど、ひとりひとりの気づきや成長を丁寧に描いています」なんて紹介の仕方をしていました。
とんでもない。
ひとりひとりの気づきや成長は、すごいことなんだ。
そこに気が付くことができたとき、私にとっての世界は本当に大きく広がりました。
宮下さんの作品を読んでいく中で、じわじわと私の中に気づきが芽生えていたことが、宮下さんの言葉によって表現されたような気がします。
直木賞の受賞候補作にも選ばれ、本屋大賞にもノミネートされたこの作品。
キノベスという紀伊国屋書店員さんの推薦第一位に輝いたこの作品。
宮下さんの作品で、心に新たな気づきが芽生える人がたくさん増える光景に思いをはせる。
(この時の気持ちは、こんな感じです)
私の歌がすごいんじゃない。私の歌で誰かのどこかを揺さぶる。つまり誰かのどこかに揺さぶられるものがある、ということに希望を感じる。胸が震える (P.254)