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現場も自分たちの足も引っ張ってしまう管理部門発の運用ルールを防ぎたい

「トラブルを防ぐために施した施策や運用ルール」が手間すぎて、新たな問題を発生させている。

…といったことを、管理部門で働いている中で何度か見てきた。入社したら既にそういったことが複雑に絡まり合っていたり、上の方で勝手に決まったり、そうなるのを止められなかったり、気づけば私もやってしまったり。反省することも多々あるが、一度書き留めておこうと思う。

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例えば、一部の部署でずさんな勤怠管理により残業がかさみ、すわ36協定の上限値を超えそうでヒヤヒヤだ!と問題になった際に「残業する場合は所定の申請書を提出し人事の承認を得る」といった全社施策が取られたとする。
(なお時間外労働は上長の指示のもと行わせるものなので、上長と本人の間で合意がなされたという形式を取ることとする)

これにより追加されるのは以下のようなオペレーションだ。

○本人と上長(時に役員?)、人事にまで及ぶ申請フローの新設
○上長による勤怠管理マネジメントフローの増加
「ちゃんと時間外の運用ができている人たち」に単純に増える手間
○そのフローがちゃんと行われているのか確認する人事の業務負荷
 (申請書無しに時間外労働してないか?という勤務表との突合)
○「申請書出すのめんどくさいから時間外つけないでおこう」という残業隠しのリスク
○(※PCログ等客観データを用意している場合は、それとの突合作業)

体感としては、経営者や管理職層から「会社ルールに社員をすべからく従わせる」思想のもとに「こういったチェックが必要だ」「申請させなきゃいかん」といった発言を聞くことがある。守れない根本原因よりも先に、表面的に防ぐための施策を打ちがちだ。

そういうミッションが降り、人事はそれなりの運用ルールをこねくり回す。しかしそのめんどくささ故に、その運用がずさんになったりする。

新たに申請を作るのであれば、その申請→承認が「きちんとなされてるか」という確認もセットでついてくる。これを単純に「人事が確認する」みたいな雑なフローが構築されがちだ。いや結構大変ですよ。そしてなぁなぁになってしまったりする。

あるいは、「申請書を出した/出してないか」にリソースが割かれてしまい、本来の「時間外をきちんとマネジメントする」みたいなポイントが行方不明になる事態も起こる。申請する側も、集計する側もどちらも大変で誰も喜ばない(そして隠された残業が増えてイロイロ危うくなる)みたいな…。

こういったときどうアプローチをするべきなのだろう。

○最低限申請/承認フローを簡潔に

 「申請させること」そもそもを、めんどくさくさせることで、「申請するくらいなら○○しないでおこーっと」という抑止効果があるのかもしれないが、それ以上に「申請めんどくさい」のデメリットが大きすぎる。未申請による運用の不備、めんどいフローを増やされたことでの本来の仕事の足枷、目的と手段の行方不明感などなど。

ということで、申請させねばならんなら、それは簡単であるに越したことはない。

○突合系はできるだけ自動に

 Aの申請とBの実績を照合する。みたいな作業は自動化されるべき。あるいは、BをするならAの申請が確認できてから、みたいな制御があれば良い気がする。システム系の話になるとまぁまぁ大変だ。で、そんな設計をするくらいのメリットがあるのか?という話も出てくる。(出てきた結果、手作業でやろう!!という地獄のコースもある)

○そもそも申請/承認フローが必要なのか

 まぁこうなる。何かを防ぎたいとか、レギュレーションを設ける際に「よっしゃ承認制にしよ」と安易に走らないことも大事な気がする。

なぜ安易に走ってしまうのか。少なくとも「なにかやってる感」が出るので、防止策が生み出された気持ちになってしまうからだろう。再発防止策にとりあえず「ダブルチェックの徹底」を思いついてしまう類のアレだ。

「みんながみんな」のレギュレーションにするのか、うまく行ってない部分へのヒアリングや実態調査によって根本的な原因を探るなども必要だろう。

 

というか、みんながうまくいってないような、うまくいかずに困るような状態なのであれば、申請/承認とか以前の問題だったりする。残業の例で言えば勤怠システムがそもそもやりづらい見づらいとか、制度上残業のカウントがわかりづらいとか。「現場の運営に責がある」のではなく、「今のあり方そもそもが原因である」という視点は結構抜けがち。

 

道路を整備していないのに事故らず走行せんかい!などと言っているようなものである。だけど現場の走り方が悪いと言って走り方のレギュレーションを整備するような施策に走ってしまうこともままある。

目指すべき形、あるべき姿について考えた上で、何が得策なのか。そして策を打つことだけに注意しすぎるあまり本来のオペレーションの足を引っ張ったり枷を作ったり、ということにならないよう注意していきたいものである。

 

人事として防がねばならん問題は防がねばならないが、誰のためにもならない運用ルールは現場も自分たちの足枷にもなる。本末転倒も甚だしい。

本来「現場の人たちが働きやすい環境を作る」ことこそが人事の大事なミッションだと思っている。やらなければならないこと、やってもわらねばならないことは多々ある。だが、それをいかにシンプルに・わかりやすく・あまり本業の足を引っ張らないようにするか。それを考えていきたい。