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誰しもの一歩を描いた物語なのだと思い始めた【はじめの一歩 1210話感想】

ここ数週間のはじめの一歩を読んでいて思うのは、はじめの一歩は「幕ノ内一歩がボクシングの道を歩き出した一歩」のことだけを指すのではなくその姿を見て心動かされた人たちの"新たな一歩"のことを指すのかもしれないということだ。


これは、作中の人物だけではなく、あるいは私たちのことも指しているかもしれない。
さらに言えば、森川ジョージ先生にとっても。

先週、先々週で明確な引退の意思を表明した一歩。今週は少し時が経った後楽園ホールが舞台。日本フェザー級チャンピオンの今井が華々しい防衛を飾る場面が描かれる。
対戦したい選手は?と聞かれ、幕ノ内一歩を挙げる今井。

彼にとって、ボクシングを始め、続けるにあたっての憧れは一歩だった。
それを見守る板垣にとってもそうだ。

ファンの反応を見るに、一歩の引退表明は公言されていないようにうかがえる。
「最近見ないな」という存在でしかなく、引退も噂のようにささやかれている程度である。

 

最近見ないあの男は、今何をしているのだろう。
「釣り船屋では?」と思う気持ちを抑えながら、読者も似た疑問を抱くいて終わる。


今後の展開はどうなるのだろう。
一歩が世界に至るまでを描く物語ではなかったのだとしたら、マイクタイソンに憧れてボクシングを始めた一歩のように一歩に憧れてボクシングを始めた誰かに対し、バトンを引き継ぐ物語になるのだろうか。


否、一歩の電撃復帰があるのか。

 

正直申し上げると、一歩の激白から今にいたるまで、絵のきれいさと迫力、そして丁寧な描写は非常に読みごたえがあって、おもしろいなぁと思っている。沢村戦前のざわつきや、ホーク戦前の鷹村の網膜剥離疑惑騒動を思い出す。森川先生が、ノリにノって描いているようにも感じる。

 

この物語は一歩の物語だけではない、他の人々の物語でもあったことを思い出させるここ最近の展開。一歩の描いた∞の軌道と、それに巻き込まれ影響を受けていった仲間たちの今後はどうなるのだろうか。

 

本当に先が読めない展開となり、ここにきて新たなおもしろさが生じているはじめの一歩。悔しいかな、今後も見逃せない

 

はじめの一歩(5) (講談社漫画文庫)

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