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カスタマーサクセスのこと勉強してたら「これって人事にも言えるな」となった話

『カスタマーサクセス』という言葉を割と最近知りまして、ちょいと勉強をしていたんですね。おもしろい概念だし、いろいろ応用が効きそうだなと思ったので整理してみようと思います。

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

 

そもそもカスタマーサクセスてなに…の前にSaaSってなに

そもそも『カスタマーサクセス』て何やねんというところから話すと、元をたどればSaaSというビジネスモデルが活発になってきたここ数年で生まれてきた概念のようです。いや『SaaS』ってなんやねんってところですが、Software as a Serviceの略で、早い話が月額課金制のウェブサービス的なもんだと考えたらええんやと思います。始めるにあたって大掛かりな設備や仕組みが不要で、毎月お金を払えばそのサービスが使える的な。クラウドサービスに包括されるのかな。

今まで企業は人事システムだとか、グループウェアのシステムとか、経費処理システムだとか、そういったものを導入しようものなら「とりあえずサーバーを立てて…」から始まって軽く数百万だか千万単位の初期投資が必要になります。

SaaSと呼ばれる形態だと、サービス提供側がサーバーを立てていて、導入企業側はアカウントを取得して定額月額を払えばサービスを利用できるため、導入するハードルがグッと下がっているのが売りですね。とりあえず使ってみっかができる。逆に、「気に入らんかったら他のに乗り換えるか」もやりやすい。リスク回避にもなります。

小規模な企業がドンドコ生まれている昨今、初期投資を抑えつつ高品質なサービスが使えるのが時代にあっているのだと思います。

また、従来のどでかいシステムでは対応しきれない、かゆいところを狙ったピンポイントなサービスが生み出されているような印象もあります。既存のどでかいシステムと組み合わせるオプションとしてこういったサービスを導入するパターンもあるのだと思う。例えば人事労務系だと、入社時の手続きだのをラクにできるスマートHRで入社時の手続きを簡略化し、そのデータを本丸の人事管理システムに連携するとか。

改めましてカスタマーサクセスについて

 読んで字の如く、カスタマーのサクセス。

「うちんとこのサービスを使った顧客が、求める成果・成功を得られるようにすること」がミッション。それはサービスのさらなる活用法の指南や、サービスを使って得られる指標をどう活かすということなどをコンサル的に支援することも指します。「このサービス使ってよかったわ!」という価値を生み出していく。

そこには、『お手軽に始められるからこそ、手軽に辞められる』という背景もあります。導入するだけで数百万、数千万得られる今までのビジネスとは違い、このビジネスは継続してもらってナンボの世界。言い換えれば『このサービスを続けてもらうだけの価値』があるものにしなければなりません。更には、より上位の契約を結んでもらうとか、他の有料オプションも契約してもらうとか。(もちろん、それによって顧客が求める成果を得られることが求められる)

顧客が自社製品を使ってより成果を上げられるように。離脱や意欲の低下、期待されていた価値との相違を招いたりしないように、カスタマーサクセスという役回りが必要となっています。「この顧客の抱える課題的に、こう使ってもらうとより良いんじゃね?」と仮説を立てたり、「顧客がこの機能使わなくなったけど、うまく伝わってないのかな?」と分析して提案していったりする。こういった役回り、今までの言葉で言えば、「営業」の一つの仕事として内包されていたような気がしますね。

近い言葉で「カスタマーサポート」がありますが、どちらかといえば「対応する」役割。困りごとに対応、問い合わせに対応。守りのサポート。より使ってもらう、より活用してもらうことを目的とするのが攻めのカスタマーサクセスなのかなと。

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人事っぽいなと思ったこと

そのサービスが定着するように、なんならめっちゃ活用してもらうように…。その顧客がもっとパフォーマンスを上げられるように…って考えていろいろ分析したり、後押ししたりすることって、「採用した社員が定着して、活躍できるように制度や環境を整えたり、状況を把握して適切なフォローをしたりする」…人事とか管理部門系の人たちにも同じことが言えるんじゃないか?と思いました。

入社から定着して活躍するまでのオンボーディングみたいなこととか、研修をどう組んでスキルを高めていくか、高めてもらおうか。現場に任せるOJTだけでなく、Off-JTで何を身に着けてもらうのか、キャリアプランをどう描いてもらうのか、というところで背中を押したり、地盤を固めたり、おもしろそうな未来を作っていったり…する必要がある人事や管理系部門って、カスタマーサクセスなんじゃないかと。

と思っていたら、同じようなことを考えている方がいらっしゃいました。安心した。

会社が溢れている時代だからこそ、「メンバーにどういう体験を得てもらい、会社で活躍するのか。メンバーの自己実現と会社の自己実現(ビジョン)をどうリンクさせるのか」が重要なのではないでしょうか?

一昔前の、とにかく採用して、働いてくれれば良いという時代は、もうずいぶん前に終わっている気がしています。

人事こそプロダクトマネージャーであり、カスタマーサクセスであるべきだと思い、Employee Experienceを調べてみた。|Yuki Moriyama|note 

 エンゲージメントなんていう横文字も最近よく見ます。愛着とか思い入れとかそういう意味で使われますが、職場や仕事やカイシャに対して、「よーしがんばっぞー」と思えるかどうか、モチベーションとのリンクが持てるかどうかの尺度とでも言いましょうか。「ここで働く意欲」みたいなのが薄れたら、ホイッと転職されてしまうことが多くあります。

転職へのハードルが随分と下がっていますし、企業側としては早いこと「雇ってやっている」みたいな感覚を放り投げたほうが良いと思います。24時間働けますか世代の方や、新卒至上主義で「このカイシャしか知らないからこれが当たり前」だと思っている人が多い環境においては特に、中途入社や最近の新卒の子たちの価値観や働き方、求めるコトとのギャップが激しくなり、企業は気づかなくなりがちで。そういった中でこのエンゲージメントという言葉も注目を浴び始めているんだと思っています。

 人事というのは、社員のエンゲージメントを高めつつ、定着を図りながら、もっともっと活躍できる、パフォーマンスを発揮できるように並走していくカスタマーサクセスの役割が求められるんだな!と思うと、上からの大号令で言葉ばっかりの残業削減みたいなことしてる場合じゃないんですよね。

人事系部署って役員からのトップダウンもまぁまぁ多いので、役員の方を向いて仕事してしまうことが多いのですが、そうしてたらすぐに目的を見失ってしまう。少なくとも現場をしらけさせるような取り組みを始めたり、現場の手間だけ増やすルールを作っちゃったりしてちゃあ話にならないんだよな。

職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

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