どれほどいいことを考えていても、その考えが頭の中にあるだけで、まだ外に出てきていない状態では、アイデアとは呼べないんじゃないかと僕は思う。
アイデアとは具体なのだ。アイデアとはアウトプットだと言い換えてもいい。
「だから僕は、ググらない」p.18
アイデアとは、目の前にある課題を具体的に解決するための道筋だとした上で、それはアウトプットされたものである。
それをアウトプットするまでの過程についてを、それはもうあっちへこっちへ妄想の海を漕ぎ進みながら学ぶ?いや、頭の中の冒険についていって葉っぱや木の枝や謎の水滴や霞に紛れることができる一冊。
そもそも課題・問題は本当にそれが問題なのか…といったそもそもの向き合い方、連想するには元になる情報を知っておかないと派生させられないこと、好奇心を持って見聞きしていたことが、全然関係ないところで結びついたりすること。
…で、こうして「書いてあったこと」を記録するより、それで自分がどう思ったかを書いたほうがおもしろいし、派生し甲斐があるし、妄想が捗る。
なんだか最近目の前のことを「こなす」のに精一杯になっていたなぁ、肩に力が入っていたなぁということに気付かされた。
好奇心と、妄想と、それを形にしてみること。自分の思考の旅に付き合ってみること。そういうのをしばらくやり損ねていた。森見登美彦作品を読んだ後、身の回りのことを登美彦節でナレーションをしたり、伊坂幸太郎作品を読んだ後、あらゆる事象を伊坂節で思い描いてみたり。
この本を真面目に"理解しようとする"という読書の姿勢が、そもそも妄想とはかけ離れた思考になっているのではないか。してやられたな、と天を仰ぐ。