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【読書】チームのことだけ、考えた。/サイボウズのチームワークは理念と言葉の定義の浸透あってこその成果

 

サイボウズの取り組みや理念等については、サイボウズ式だったり、様々な書籍だったり、サイボウズdaysを通じてある程度理解していたつもりではいたのですが、改めて根幹となっている考え方に触れておこうと思い読みました。

会社のライブラリーにしれっと追加されていたのがきっかけでもある。ライブラリで入荷していたのを見てニヤっとしてしまった。 

 

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 サイボウズは100人100通りの人事制度、働き方を掲げ、今では特にリモートワークに関する知見の公開によっても注目を浴びていますが、かつては離職率28%にのぼる企業だったことを公演や書籍で毎回目にしますし、webインタビューでも語られています。

 

理想と現実に差があり、この問題をどう乗り越えていくのか。サイボウズは今の制度がいかにすごいか、みたいなところが注目されがちで「それはサイボウズだからできるんだよ~」と揶揄されてしまうことも多いのだが、サイボウズが発信している情報のキモは、問題を如何に解決してきたのか、どのような課題設定をして取り組んできて、今重要視している「公明正大」や「情報の公開」「質問責任/説明責任」「100人100通り」のような要素に至ったのかという過程や手法であり、それを公開していることだと思っている。

サイボウズにはチームワークあふれる社会を創る、という理念がある。チームとは同じ目標を持った集団であり、チームワークとは和や調和ではなく、個々に異なる集団が、チームとして同じ目標に向かって進んでいる状態を指す。それが滞りなく行えるように制度や環境を整えていった結果が、今の柔軟な働き方となっている。

チームワークをよくするための取り組みが、結果的には多様な働き方を応援する企業文化醸成につながったんですね。今、サイボウズにはパリや新潟でリモートワークをする社員もいれば、週に数日は違う企業で働く社員もいます。副業は申請なしで可能ですし、ライフステージに合わせて柔軟に働き方を選べるように。100人100通りのワークスタイルが実現できるようになりました

28%の離職率を4%に変えた、サイボウズ流チームワークとは | MASHING UP

 

これらの考え方に至るプロセスが詳細に書かれているのが、この書籍。会社を立ち上げてからの成長や発展、苦労、悩み、転換期を青野社長が振り返って語っている。同じくほぼほぼ初期から要る山田理氏も振り返りながら人事制度の話などを記した書籍があるが、同じことでもありつつ、それぞれの立場から見えるポイントが異なっているのがおもしろい。

青野さんとオサムさんは思考とアウトプットの仕方が若干違うのもおもしろい。様々なメソッドをロジカルに?淡々と組み合わせて執筆している(ように見える)青野社長と、山田さんは「こら大変やで」「もっとええやり方あるんちゃうか」みたいな感情や共感ベースから書いているように見える。

 

話を戻そう。

過去の記事やセミナーで聞いてはいたが、本当に考え方の根っこはここにあり、この執筆時代からアップデートはされてはいても、根本はブレていないんだなと感じた。そして、様々な社員の情報発信から見ても、それが浸透していることがよくわかる。議論の過程をオープンにしているからでもあるよね。ええなあ。(ええなあ。)

 

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前置きが随分と長くなったが、この書籍を読んで改めて学んだこと、重要だと思ったことを記しておく。 

事実と解釈

事実は五感で感じられる確かさの高い情報

解釈は事実を得て考えた情報

これが混合すると、議論やコミュニケーションに齟齬が生まれる。「お客さんがこう言った」という事実に対して、「お客さんは満足している」 というのは解釈に過ぎない。

これは最近こちらの記事でも似たようなことが書いてあり、そうだなぁ~~~と自分自身気をつけねばと思うことでもあった。

なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。 | Books&Apps

ここをごっちゃにすることで、途端に話が難しくなる。「それだとみんなが困る」みたいな自身の解釈や意見を声高に表明する方がいたりすると、サイボウズでは「それはあなたの解釈ですよね」となるのだろうなぁ。

問題解決メソッド

事実と解釈を分けることを共通言語とした上で、フレームワークを作り議論を行うベースとしている。

問題=理想と現実のギャップと定義した上で、その問題を解決するための課題(next action)をどうするかという議論を進めていく。理想は何で、現実はどうなのか。その原因はどうなっていて、埋めるべきギャップとは何か。これを「事実」と「解釈」に分解して考えを進める。これはチームでの議論だけでなく、個々の問題分析にも使えそうだなと思った。

チームワークに精神論は不要、サイボウズがサイボウズになった理由 | Business Insider Japan

このメソッドはこちらの記事でも詳細に紹介されている。

理想マップ

理想マップは、問題を議論する上で「時間軸」や「範囲」の要素を加えた考え方だ。いまいまのことか、将来のことか、論点をどこに絞るのか、幅広く見ていくのか。最初に定義付けをすることで議論のターゲットを絞ることができる。

コンセプト

理想について語る上で、理想を設定する上でカギとなるのが「コンセプト」というフレームワークだ。「誰」に「何」と言わせたいかを決める。このコンセプトはいいな!誰に何を言わせたいのか、というのを決めてから企画や資料を作ると、表現の仕方や使うべきソースがブレないですむ。

制度を作るプロセスはオープンに

これはもう本当に徹底していて、それによって腹落ち感がマシマシのマシで効率も良いので、意識して上層部に働きかけていきたいし、何か制度を作ったりする際は出来得る限りいろんな人を巻き込んでいきたいとも思った。

問題提起、共感、議論、集約、起案、承認と制度が作られていく過程がオープンになっていることで、活かされる制度づくりにつながる。秘密裏に作って、後から現場からやいのやいの言われたり、いろんなダメ出しや問題が見つかって細則だらけになるよりよっぽど効率的で、労使共の納得感が高い。

 

 

働き方や制度の柔軟さがピックされがちなサイボウズですが、その根幹にあるのはチームワークを発揮するための取り組みであり、そのためにこういった共通言語であったり、公明正大な風土づくりであったりを進めているのだということが改めて理解できました。そもそも社内の人材は事情も考え方も理想も多様であり、それらの集団がチームでワークするためにどうしたらよいのかを真摯に考えてきた「結果」が100人100通りの人事制度や、在宅勤務制度や、複業原則自由ということ。

各企業の理想や問題、その原因が異なる以上、同じ制度を他企業でマネても浸透は難しいかもしれない。

…という記事がちょうどアップされていたので最後に紹介しておきます。

私がサイボウズデイズで話を聞いたパナソニックさんの事例。

いまでもずっと強調しているのは、「サイボウズの真似をするんじゃない」ということ。「サイボウズではできるけど、うちではね」っていうのは禁句にしたい、って言う話をしています。

礒貝:みんな、すぐ言うんですよ。「事業規模が」とか、「人数が」とか、「うちは製造のメンバーもいるから」とか。

「そんなん、わかっとんねん」と。

teamwork.cybozu.co.jp

  

 

 

チームのことだけ、考えた。――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか