仕事で不注意によるミスがあったとき、今後の対策を考えろ!と言われた際にどう答えていますか?
気を緩めず仕事をする?ダブルチェックの徹底?二人体制のチェック体制の確立?
これらはよく挙がりがちで、割とその場しのぎの「今後の対策」ですが、人的コストが増える割にチェック精度がそこまで上がらない可能性があります。ミスを防ぐために手順をやけに増やすことは、場合によっては得策とは言えません。
ヒトはヒト。自分がやったものに対するダブルチェックなんてその時のコンディションや仕事の張り具合によって変わるし、二人体制になると「後のヒトがチェックする」「一回チェックされたものだし」という気持ちになれば意味がない。
普段はミスなんてないのに、「ちょっと締切が近かったから」「他の仕事も一緒にやっていたから」「慣れてちょっと手順を省いたから」…と様々な要因でミスは発生します。
以前何かの記事で読んだのですが、交通インフラを担うJR西日本では起こりうる「ヒューマンエラー」と、周囲の環境や人間関係、社会規範やルールなどさまざまなものから影響を受ける人間の特性を「ヒューマンファクター」として研究しています。
ヒューマンエラーを少しでも減らすためには、失敗した人を責めるのではなく、失敗に至った人の特性を見極め、失敗しにくい作業環境を整えていくことが重要です。
「ヒューマンエラーは起こるもの」という前提にたち、忙しい時も暇な時も、「これさえしていればミスが防げる(可能性が高い)」仕組みを作ることが重要なのだと思います。これはミスを防ぐことにも、作業効率を高めることにも繋がります。
今回ちょっと大きな病院に通っていて、患者さんも多いし医療範囲も広いからっていうのもあるんだろうけど、様々な仕組みができていてすごいなーって思ったことを書いてみます。
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さっそくとんでもないイラストを掲載しているので、驚いたかもしれませんね。筆者の頭と絵心を疑いたくなる気持ちもわかりますが、まぁちょっとお待ちなさいよ。
患者データの管理と活用
診察券を発行された時点で、とりあえず自分の番号をキーとして、基本情報が登録されます。入院中は氏名と患者番号(とバーコード)が印字されたリストバンドを装着します。
その番号をコンピューターに入力したり、ピッとバーコードを読み込めばデータベースから、いわゆるカルテや、予約情報、どんな薬を処方したか…などなどが確認できるし、情報を更新できる。
外来で診察を受けた後、「じゃあこの後レントゲンと血液&尿検査ですね」つって言われてその窓口に行く。(そのときにそういった検査指示を登録してるんでしょうね)
行って診察券を読み取ってもらうと、例えば採血では「必要な量を採取するためのキット一式が出る」→「名前とバーコード付きのシールが自動で貼られる」までが機械の処理。担当さんは私の氏名を再度確認した上で採血を行う。採血後のケースは、またバーコードを読み取って検査して、その情報がさくっと登録されるのでしょう。
レントゲンなんかも、患者情報を読み込んだ後に撮影したら、撮影データが私のカルテにバシっと登録されるわけです。
薬剤師の処方なんかも、登録したらそれに基づいて薬が自動で出るなり、印字された袋が勝手に出るなり、おくすりの説明書なんかもぱぱっと出てくる…んじゃないかな。
やっぱり患者や検査結果、処方の取り違え防止が鍵
医療現場でのミスとしてはこれが一番重大で、数多くの患者さんを扱う環境下では頻繁に起こりうるリスクと隣り合わせなのだと想像できます。
それを防ぐべく、検査容器や処方やらは割と自動化して、最後現場としては「渡すもの/受け取るもの」⇔「本人」の確認をちゃんとするだけ。
様々な処置を受けるタイミングで、何がなんでも「お名前教えてください」と確認をする。これだけ徹底すればミスは殆ど防げる(はず)という状況を作っているのが興味深かったです。違うものを持ってきたり、確認怠っても、印字されてるんだから最悪患者サイドでも気づけるし。
検査容器も、「患者情報を確認して、手でラベルシールを印刷して、検査容器に貼って…」みたいなアナログ作業の中で起こりうるミスや作業の手間を省いており、良い仕組みだなぁと思いました。
ミスが起きない環境や仕組みを作る、ということは日々の仕事にでも活かせる考えであり、しかしちょっと時間がかかるのでなかなか手がつけられないという。
中長期的に考えたら絶対仕組み化したほうが良いのに、目の前のことばっかりに目が行きがちな経験が多かったので、すごく刺激になりました。仕事だけでなく日常でも使えるよなー…なんて。