DegoReco

でごのつづるレコメンド。レコード。おすすめと、記録。

【甘々と稲妻】読者総親戚化。つむぎ、大きくなったねえ。思い出アルバムのように単行本を読み返す。

愛読していた甘々と稲妻の最終巻(12巻)が刊行されました。

はー、終わってしまった。終わってしまったけど、いい終わり方だったなぁ。素晴らしいなあ。

妻を亡くし、ひとりで娘の子育てに奮戦する数学教師・犬塚。料理が苦手で小食で味オンチな彼は、ひょんなことから教え子・飯田小鳥と、一緒にごはんを作って娘と3人で食べることに!! 月刊「good!アフタヌーン」誌上で連載開始当初から話題沸騰! 愛娘&女子高生と囲む、両手に花の食卓ドラマ、開幕です!!

afternoon.moae.jp

 ↑1話試し読みできるので、「??」という方はぜひ読んでみてほしい。

 

なんと、Kindle版は1,2巻が無料で読めます。(2019/2/11現在)

 

 

スポンサーリンク

 

 

 さて、この作品は先生と娘と女子高生が料理をする漫画…と言えばそうなんですが、料理漫画と表するのではなく、登場人物たちそれぞれの成長物語が主題だと思います。

 

つむぎちゃんが心身的に成長していくのを物語の時間軸の中心にしつつ、子どもながらの成長ポイント(いじわるしてくるお友達、うまく伝えられないもどかしさ、ウソをついちゃったことの苦しさ、はじめてのおつかいetc..)があったり、それに対して向かい合う犬塚先生の、親としての成長。犬塚先生の生徒でもある小鳥ちゃん自身の友達付き合いや進路、過去のトラウマとの向き合いなどなど。

 

犬塚先生はつむぎを大事にしたいと思いつつ、時々それが過保護というか、つむぎちゃんの自立心を窮屈にしちゃったり(子どもの、「やってみたい!!」という好奇心と、それは危ないなぁと思う親の心、難しそう…)

つむぎちゃんはつむぎちゃんで、いろいろやりたいー!って思いも、でも一人で育ててくれるお父さんを困らせたくない思いと、逆にお父さんが無理してるのに大丈夫って言って辛い!とか、子どもだからこそオトナが自分に隠していることを察したり。ああ、自分も親に対してこんなこと思ったなぁ、なんてことがたくさんあります。

 

で、そこに料理の上達という成長が入ってくるんですよね。これがなんと心温まることやら。料理自体が大事というか、主軸に「つむぎにおいしいものを食べさせたい」「一緒にごはんを食べよう」を大事にする!!というのがあるので、料理自体をいっしょに楽しむこと、食卓を楽しく囲むことをみんなが大事にするのが尊い

料理も献立の応用はもちろん、基本的なダンドリなどがどんどん成長していくのがおもしろい。つむぎちゃんの手伝える範囲も広がり、料理がうまい八木ちゃんやしのぶちゃん、小鳥ちゃんママがいい感じに絡んでくる。みんなでその「大事な時間」を育てていくのが心地いいんです。

 

あと単純につむぎちゃん可愛すぎる問題。

パパ以外にも、小鳥ちゃんやしのぶちゃん、八木ちゃん、小鳥ちゃんママになつくの可愛すぎる。

 

ここまでが作品紹介!!!

まぁまぁ1話を読んでみてくれ。1話の構成は本当に見事です。

www.moae.jp

 

こっからは、読んだ人(つむぎちゃんの親戚と化した方)と一緒に語り合うような感じ。12巻まで読み終えた今、1巻から読み返したとき「ああ、こんなこともあったなぁ」なんて微笑んでしまう、完全に親戚の伯父伯母みたいな気持ちでつむぎの成長を見守ってきた者の一人として!思い出のアルバムをめくっていこうじゃありませんか。

  

 懐かしいですね。1巻。

1話のインパクトはすごかった。

暗い部屋でテレビに張り付くつむぎを目撃してしまうシーンの衝撃。

からの、「食べるとこみてて!!」のシーンがすべてだと思います。

ああ、そうだ。「見ててほしい」って気持ち、あったよね。そうだよね。

 

 ピーマン苦手なつむぎが可愛い回。

そして八木ちゃん初登場。八木ちゃんの存在は大きいなぁ。めっちゃ好きです。八木ちゃんの店で食べてみたい。

しのぶちゃんと一緒に餃子食べた回もいいですね。小鳥ちゃんの葛藤が愛らしい。「友達がワイワイ来てくれるのは嬉しい。でもセンセとつむぎちゃんと3人で、悪戦苦闘しながら料理する時間も大事にしたい」しのぶちゃんのしっかり者感は頼りになります。好き。のちのちそんなしのぶちゃんにも不安なことがあんだなーってエピソードが入ってくるのはいいですね。

はぐれちゃったつむぎを叱るシーン、胸がぎゅーってなる。あのあと二人で謝りあうの、いいよね。パパも叱りたくて叱ってるわけじゃあないんだ。

 

甘々と稲妻(3) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(3) (アフタヌーンKC)

 

 (1,2巻はKindleのリンク貼りましたけど、装丁もめっちゃいいからここからはコミックス貼りますね)

ママが存命中に作った、つむぎお気に入りカレーを、パパが作る回。

ママとの思い出のスペシャルなやつが再現された喜びと、再現されてしまったという複雑な思い。ママだからこそのレシピじゃなくなってしまった哀しみ。

犬塚先生が倒れたときに、一人で買い出しにいくつむぎのお話もありました。「一人ででかけちゃだめ」って約束を破ってしまう苦しさがあるんだよね。それをちゃんとフォローする小鳥ちゃんの優しさ…。ほろり。

みんなのお料理会が終わるかな?なんて匂わせる感じ、これまでのおさらいをお弁当に詰めてもっていく犬塚先生。正直1〜3巻だけでもホントきれいにまとまっていて、この人の構成力はすげえなあと思わされました。(確か、1〜3巻まで出ていた時期にまとめ買いをしたので、この3冊の思い入れがすごい。ここから刊行を追っていく形になりました)

 

甘々と稲妻(4) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(4) (アフタヌーンKC)

 

 料理、慣れた頃にミスっちゃうんですよね〜。ということで、手を切っちゃう回。

幼稚園のお友達と意見が合わなくて雰囲気悪くなっちゃうこともあったり。自分はこうしたい!っていうのと、友達がそれを受け入れてくれない。でも、それを変に押し通すでなく、妥協するでなく、こうしたいんだっていうことをしっかり伝えるのは大事なことなんだなぁ。「誰かが特別悪いことをしたわけじゃなくても、うまくいかないこともあるんだ。」

パパも叱るのは苦手。つむぎも怒られるのは苦手。叱りたくて叱ってるんじゃないんだー、ってつむぎにわかってもらう重要な回もありました。

 

甘々と稲妻(5) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(5) (アフタヌーンKC)

 

 4巻最後から登場した秀くん!

ママが出産入院中で、「ママが帰ってこない」と寂しい気持ちがねじれてややこしいことに。そんな中、つむぎが「すぐるくんのママは病院にいるでしょ」って。あー。あああー。(嗚咽)

そして、つむぎはじめてのおつかい!!

最後に失敗しちゃうんだけど、それに対して「ごめんね(まだ早かったね)」と謝っちゃう先生。無理させちゃったかな、急がずにやろうね、っていう優しい思いは、つむぎにとっては「できないってがっかりさせちゃった?」と映ってしまった。この作品がすごいのは、「先生がちゃんと聞けてないなら、周りが聞くように諭すこと」と、なんらかの第三者の声があること。「自分たちだけでは気づけないことがたくさんある。親だからってわからないこともある。」

これは、犬塚先生の、親としての成長物語でもある。

 

甘々と稲妻(6) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(6) (アフタヌーンKC)

 

「別の小学校に進む」ということ。

小さい頃の友情関係、環境が変わるとすごい不安ですよね。

おともだちのゆうかちゃんが私立受験をすることで、離れ離れになっちゃうかもしれない不安。一緒に居れなくても友達でいれるかなぁ?って。あーかわいい。

先生の修学旅行引率中、離れ離れになる父娘もかわいいー。寂しくなっちゃうつむぎが愛おしすぎる。

 

甘々と稲妻(7) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(7) (アフタヌーンKC)

 

 刊行ペースがだいたい半年に一回なので、単行本を買うたびに「つむぎ、大きくなったねえ」と言ってしまうことで有名、甘々と稲妻

6巻でも注目されたゆうかちゃん…というか、幼稚園の友達にフォーカスがあたるのも、つむぎが、「うち以外の子(と親)」の関係性について考えたりすることが増えたのかな、という感じ。子どもにとって「自分はこうしたい」って言うの、難しかったりしますよね。「あってるかどうかわからない」みたいなね。何が正しい、間違っているっていうものさし以外にも、「自分はこうしてみたい」って考えさせることは大事なんだなぁ、とゆうかちゃんママを見て学びました。

そして、幼稚園卒園!!

そ、卒園!!!!

 

甘々と稲妻(8) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(8) (アフタヌーンKC)

 

 小学生だーッッッ!!!

幼稚園より大きなコミュニティになり、まだ「男女」みたいなややこしーい話も出てくる小学生。価値観も違うことが結構ビビッドになって、自分の当たり前が他人に指摘されたりすることが増えたりすると動揺しちゃいますよね。

 過去に一悶着あったなぎさちゃんと仲良くなれてよかったなー。仲直りした次の回からいきなり距離感がめちゃ縮まっているのにはウケてしまった。

ただの歯の生え変わりだったけど、虫歯じゃないかと心配→ちゃんと歯を磨けてなかったからパパに怒られる!?→隠しとこ… みたいな、子どもらしい悩みが愛おしい。

怒られるかな!?と隠しちゃうのは、おとなになってもたくさんいますね。(遠い目) 

甘々と稲妻(9) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(9) (アフタヌーンKC)

 

イメチェンだー!!!!

どうして小学生って、男の子が女の子と遊んでいるとひやかす子がたくさんいるんだろうね。ムキー!となっちゃう。

そしてゆうかちゃん再登場。久しぶりに会う友達!と思っていたら、こっちはこっちで新しいコミュニティもできてて、複雑なお気持ち。わかるわー。

でも大丈夫。いつも会えなくても、たまに会えたときに「いつもどおり」遊べる友達はずーっと続く。

つむぎがひとりで料理に挑戦する回もあります!!かわいい!!

親がアレコレ推し量って「難しい」とか言っちゃうと、つらいよねえ。やってみたいんだもんなぁ。 

甘々と稲妻(10) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(10) (アフタヌーンKC)

 

 つむぎが大事に思っていることを、大事にしない人を見かけたときにウーッってなっちゃう気持ちの回。小学校のバザー闇取引…!

そういうこともあるよなぁ。嫌な気持ちになることもあるけど、大事に思っていることを大事にして、同じことを大事にしている他の人と出会えたときの喜びはひとしおです。

つむぎのコミュニティが広がったことで、嫌なことや、「嫌なことをしている自分になりたくない」とか、いろいろな感情が出てくる。「問題が出てくる」ってことは、それをちゃんと聞けている先生がいて、ちゃんとお話できるつむぎがいて。その関係性あってこそでもある。

なんだか、私が将来親になるときに、そうやってお話を聞ける親になりたいなぁ、って思いました。小鳥ちゃんの進路もいったん決まり、物語は進んでいく。

甘々と稲妻(11) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(11) (アフタヌーンKC)

 

反抗期について。

従姉妹の反抗期を目の当たりにして、「将来お父さんのことが嫌いになったらどうしよう」と悲しくなっちゃうつむぎ。家にはお父さんしかいないから、ケンカしたらひとりぼっちになっちゃう、なんて切実な思い…。ひーん悲しい。

小鳥ちゃんの進路も決まり、しのぶちゃんの進路も決まる。

店を継ぐことを選んだ小鳥ちゃんと、店を継ぐ以外の選択肢で視野を拡げることにしたしのぶちゃん。新しいことに挑戦して、できるようになることが増えるってワクワクするんだ!!この作品が丁寧に描いてきたからこそ説得力がある、小鳥ちゃんの一言。

みんなが大事に育ててきた時間が、昇華していきます。みんな次のステージへ。

 

甘々と稲妻(12) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(12) (アフタヌーンKC)

 

 おいしいご飯と、楽しい時間。

「大事にしてきた」ことが積み重なって、大きくなる。

つむぎが大きくなってもパパを大事に思う子で嬉しいなあ。かわいいなあ。

みんながみんな、「大事に思うこと」に対して真摯に向き合ってきたから、離れ離れになっても、揺るがないものがある。続く関係性がある。

最終話いろんな感情がまぜこぜになってしまった。あそこで冒頭シーン入れられたら泣きますよそりゃあ…。