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劇団四季 オペラ座の怪人を観てきた 〜金田一少年の呪縛と共に〜

劇団四季 オペラ座の怪人を観てきた。
こういう感想を上手に表現することはできないが、とにかく圧倒された。

www.shiki.jp

 

歌劇という性質上、歌をメインに話が進んでいくのだが、その声量や歌声のきれいさ、迫力にぞぞっとすることが多かった。あれは科学的にどういう反応が体に起きているのだろうか。
 
劇団四季の舞台は、演者さんの演技だけでなく舞台装置や衣装の豪華絢爛さも目を見張るものがある。
オペラ座の怪人という舞台を観る」時間の中に、劇団四季の作り上げる世界をひたすら浴びるような体験があった。

 しかし、2つ問題があった。

歌劇、なかなか歌詞に追いつけない。

歌がメインで話が進む中、歌詞が聞き取れないことがある。というか、完全に聞き取れるところが少ない。これは歌唱力や環境に不備があるわけじゃなくて、歌劇特有の歌い方であることが大きい気がする。事前のストーリーを脳内でしっかり補完できていないことで、内容と歌詞が結びつかない場面がちらほらあるのだ。
 
みんなめっちゃ歌うまいんだけど、完全に歌詞を聞き取ることができない。
脳内のストーリー補完が足りない!
みんなめっちゃ歌うまいんだけど、それぞれ好き放題歌っていて、声量もすごいから圧力がすごい!!
 
それにより、一番の見せ場、最後の歌こそしっかり聞き取れない
最大の見せ場と言ってもいい。ファントムに連れ去られたクリスティーヌ。追いかけてきたラウルと対峙するファントム。ラウルは首を絞められ窮地に追い込まれる!そんな中みんな歌う!みんな歌わないで落ち着いて!
いろいろ歌ったのち、クリスティーヌはファントムと唇を重ね、ファントムはその暖かさや優しさに感動し、二人を解放し、その場から逃がす。
何も知らず見たら、実際キスされてしまったらすごい慌ててしまって恥ずかしくて二人を追い出した図に見えてしまう…。 
なんて台無しなことを言っているが、実際は終始圧倒されていた。
圧倒されながら、頭がおいついていなくて、いろいろ考えてしまった結果がこれだ。
 
そしてもうひとつ。これが一番重要だ。
私のオペラ座の怪人に関する前知識がほとんどなかったことだ。

無いなら無いでいい。しかし、中途半端にあった。
金田一少年の事件簿オペラ座館殺人事件」だ。
 
金田一少年の事件簿シリーズ最初の作品であり、オペラ座の怪人の劇合宿を行う一同が殺人事件に巻き込まれるというストーリー。舞台 オペラ座の怪人に見立てた殺人が繰り広げられるこの悲劇は、なんとその後ノベルス版で「オペラ座館第 新たなる殺人」マガジン連載で「オペラ座館 第3の殺人」と計3回も行われ、金田一シリーズを読み込んでいる私の脳に深く刻まれていた。
 
事前に金田一少年を読んでいて、今後オペラ座の怪人を観ようという方がいたら、忠告しよう。
あれはオペラ座の怪人ではない。オペラ座館殺人事件だ。見立て殺人が繰り広げられるが、見立てはしているものの再現しているわけではない。
 
いいかみんな、シャンデリアでカルロッタは死なない。
 
一番驚いたのはそこだ。オペラ座の怪人の脅迫に従わずカルロッタが主役を演じている間、「いつシャンデリアが落ちてしまうのか」にヒヤヒヤしてしまった。
 
シャンデリアは落ちるが、そこでは誰も死ななかった。なんなら別件でブケーの首つり死体が登場する。席の配置で首つり死体見づらかったのと、直前いろんな人が歌いまくって混沌と化しているので、誰が死んだのかわからない始末。
 

金田一の呪縛

金田一の作中で紹介される影響で、なんとなく「こんな話かな?」と想像してみるもののどうも違う。

オペラ座に潜むファントムが、主演の力を持ちうるクリスティーヌをひっそり指導し、応援して、クリスティーヌは活躍する。
それを妬むカルロッタや、邪魔をする者たちをファントムが退ける。
・・・みたいな間違った印象を持っていた。
しかし実際は結構違う。
そんなことで、頭の中のイメージと、目の前で繰り広げられるストーリーとのギャップを補完するため、脳はフル回転した。
  
・・・これが、金田一少年の与えた影響である。
気をつけて観劇してもらいたい。
 
 
とまあ、こんなふざけた感想を書いてばかりもいられない。実際すばらしい舞台であり、金田一がどうのこうのという以上に楽しむことができた。
  
おそらく歌劇というのは、歌詞をパーフェクトに聞き取って物語を理解することがメインではないのだろう。ストーリーは頭に入れた上で、それをどう歌と演技で魅せるのかなのだとも思えた。
 
ファントムの恐ろしさはどう表現されるのか。ファントム自身の演技か、それに恐怖を感じる人々の演技か。
ファントムの孤独をクリスティーヌはどう感じるのか。恐怖を感じながら、事実自分に歌を教えてくれた彼の存在は自分の中でどう生きているのか。
彼の行いと、その裏にある感情をクリスティーヌはどう汲み取るのか。
ファントムが受けてきた仕打ちと、それにより生まれた感情はどう表現されるのか。
 
なるほど、このあたりの前知識を持った上で観劇することではじめて、「それをいかに表現するか」を楽しむのが、歌劇なのだと腑に落ちる。
そこに、劇団四季が誇る舞台装置のインパクトと、豪華絢爛な衣装、キャストの歌唱と演技力があいまってこのようなすばらしい作品を生み出しているのだと感じた。
 
地下の湖の船のシーンや、後半始まってすぐのマスカレードのシーンのセット、クリスティーヌが代役を演じた後の舞台の使い方など(ステージの向こう側を客席に見立て、こちらが舞台内側のように見せる演出)最初から最後まで夢中になって観劇していた。 
 
というわけで、海外の字幕つき公演と、映画版のオペラ座の怪人を見ることにする。
なんだか異常に安い上、驚くほどの好評価だったのですぐに買ってしまった。視聴するのが楽しみだ。