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【読書】「抵抗勢力との向き合い方/榊巻亮」

抵抗勢力との向き合い方

抵抗勢力との向き合い方

 

タイトルのインパクトから、「抵抗勢力をどう説き伏せるか」みたいな印象を持ってしまったが、全然違った。

『物事を進める際に「反発する人」「抵抗する人」「協力してくれない人」が出てきた際、どう対処するか。ということと、むしろそんな反応をされるということは、進めようとしていることや、進め方に落ち度があるのではないか?という視点を持とう』ということについて、実例を交えて解説してくれる非常に理解しやすい本だった。

抵抗勢力が必ずしも悪なのではない。というところが重要なポイント。

◯◯改革プロジェクトをやるぞー!と上層部が息巻いても、現場としては「今やるべきは◯◯じゃねーわ」としらけてしまう、みたいな構図のとき、現場は現場の正義がある。

本書は構成が非常にうまい。

 

先にプロジェクトを進めるにあたって生じる抵抗勢力との向き合い方、その対処方法(納得を得るための方法や、そのような反応が出たときに見直す術、あるいはそのような反応が出ないような丁寧な進め方等)を丁寧に書いて、プロジェクトの計画段階、推進段階で注意すべき点が解説されている。進めていく態勢をどう作るか、ということ。

 

その後に、一番最初にして重要なポイントである「プロジェクトとはどのように立ち上げていくのか」というところに立ち返る。そもそも進めようとするプロジェクトの質をどう高めるか、ということ。

進め方のキモを抑えたあとで、立ち上げの要点を抑えられると、何よりもここでコケてはいけないな、と思い知る。

 

どの段階でも大事なのはやはり人と人のコミュニケーション(上層部と現場のコミュニケーション、他部署間のコミュニケーション)なのだが、それぞれが言葉にする「意見」や「態度」の根底にある思いをいかに共有するかとそれがしやすい環境作りの重要性は説得力がある。意見を持つ人、何かモノ言いたげな人を当事者としてどう巻き込むか。

相手を論破したり説き伏せることは一番やってはいけないこと。共感や納得、思いの共有から、反対意見の原因の洗い出しと軌道修正。譲れない部分においては、問題認識の共有からの落とし所の見出し方。それを行うための手法は、比較的オーソドックスな手法だけれど、それを効果的に活用されているので参考にしやすい。(なぜ、なぜ、と落とし込んでいくことや、イシューマップを作ること、など)

 

さて。これは完全に副次的な効果だったのだが、 本書を読んで物事の進め方を学んでいくと同時に、逆の立場として…プロジェクトに限らず、会社内で指示される企画業務等において、なぜ自分がモヤモヤする(遂行においての抵抗勢力予備軍となる)ことがあったのか、ということを客観的に見ることができた。

それは、「その必要性がわからない」だとか「解決策として正しいと思わない」といった事柄自体への納得感の無さだけでなく、そういった思いを汲み取ってもらえない、反映してももらえないことへの不満…つまり推進態勢への不満があったからではないか。と腑に落とすことができた。

 

物事の推進の仕方にも参考になるし、そもそもの物事の組み立て方にも得ることが多い一冊だった。

 

 

抵抗勢力との向き合い方

抵抗勢力との向き合い方

 

 

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