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「固定残業代」の都合の良さと怖いところ 職業安定法改正について

求人票を見ていると

「月給◯◯円  ※固定残業代30時間分を含む」みたいな表記、ありますよね。

固定残業代、つまり30時間残業しようがしまいが勝手にその分のお金は入るぞ!ということで、残業しない人にはラッキー、30時間を超えたらそれはそれで支払われるし、悪いことないじゃん!と社員に思わせる都合のいいやり方の一つだと思うのですが、今回法律の改正で、少しだけメスが入りました。

 

 

時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用する場合は、以下のような記載が必要です。

① 基本給 ××円(②の手当を除く額)

② □□手当(時間外労働の有無に関わらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)

③ ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給 

(引用元 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf ) 

固定残業代について、採用するなら採用するでちゃんと書くんやで!!ってことです。

私が丹精込めて描いた解説イラストと共に、固定残業代の都合のよさと、なぜ愛用している会社が多いかと、こんなメスが入るのはなんでか?ご紹介します。

 

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この通り、固定残業代は、あくまで残業代的な手当と支払われているものであり、みなさんの「昇給」とか「昇格」とかで決まる金額とは切り離したものです。

「一ヶ月の給料21万円!」とあっても、その中に固定残業代が含まれていた場合、会社のルール的な給料ベースは残業代を除いた額になります。(もちろん、昇給したりすると、その分自動的に固定残業代はあがります。あがるはず。あがってなかったら計算した方がいいぞ!)

 

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表にするとこんな感じですね。

AさんとBさん、月給は同じですが、Bさんは固定残業代を含んで21万円です。

 では、「30時間分の残業代」ってどうやって計算しているのかというと、その目減りした基本給から、1時間単位の給料を算出して、割増率をかけて、30時間分を算出しています。

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こんな具合になります。Bさんは、計算の基礎となる金額が全然違うんですね。

元の給与ベースを低く抑えられるので、30時間分の残業代も差が出ます。

従業員としては「30時間してもしなくてももらえるぞー!」と嬉しい一方で、ひっそりとコスト削減がなされているカラクリがあるのです。

 

※余談ですが、30時間を超えたらしっかりとその分は払う必要があります。その単価も上と同じになります。

※余談ですが、上記のようにコストを抑えているので、「30時間以上は残業をつけちゃいけない」なんてことを平気で言う会社もありますし、「固定残業代を払っているんだから、残業の管理はしない」なんていう会社もあるっぽいですね。これ、気づいたら労基に言いましょう。言いましょう。

※さらに余談ですが、「申告のない残業は残業として認めない」なんて論理で残業代を払わない会社もあるようですけど、残業をしている実態があった場合、そんな理屈は通らないと思ったほうがいいかと思います。

 

で、この固定残業代、実はボーナスにも影響を与えるカラクリが。

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「賞与は基本給の◯ヶ月分」って、つまり「固定残業代の営業手当は対象外だよー!ピプー!」みたいなことです。

こわいぜ、固定残業代!!