前回年末調整の記事を書きましたが、社員の方々の入退社手続きをする上で思うのは、「割と本人の知らないところでいろんな手続きがあるなぁ」ということ。
本人としては、知っていてもいなくても、会社が勝手に手続きをしてくれる案件が多いので、「知らない間に健康保険料が引かれていたり」「住民税が引かれていたり」してるんだなぁと思います。すごい大雑把なことを言うと、会社勤めをしているときって、「自分が自分の手続きで納めなきゃいけないお金とかを、会社が代わりにやってくれている」ことがめちゃ多いんですよね。
今回は、知らないうちに会社がやっている(やってくれている?)手続きについて紹介します。
給与明細を見ない方も多いかもしれませんが、「なんか知らんけど引かれている」金額のところが、「会社がなんか手続きをしたからこそ引かれている」お金です。じゃあどんな項目がありますかね。
1,健康保険
保険証をもらっているかと思いますが、これがすなわち「健康保険入ってますよ」の証明ですね。形になるからわかりやすい。これの加入手続きは会社が勝手にやってくれます。扶養している家族がいる場合は、ちょっと自分で書かないといけない書類があったりします。
ではこの保険料についてはどう決まっているのか。「月にどれくらい給与もらってるか」で決まります。20万〜22万の人はランク1なので、1万円!みたいな感じです。
入社時は基本給的なものをベースに、それ以降は、4月〜6月の給与の平均額をベースにして年一回見直します。
例外的に、ボーナスが出たときは、ボーナスの額に応じて保険料が決まったりします。
ちなみに、保険料は会社と折半…割り勘で払ってます。どこに払っているか?というと、健康保険を取りまとめる組織です。「全国健康保険協会」が有名ですね。あとは、会社が独自にそういう組織をもっている場合もあります。
頭に入れておきたいのは、「その月の末日に保険料が発生し、支払いは翌月」ということ。いわゆる「末締め翌月払い」ですね。協会から会社へ請求するのがこういうタイミングです。入社当月に給料が発生する会社だと、初月は引いていないかと思います。
さて、健康保険、病院で提示すると3割負担になる!というのはよく知られていますが、「ケガや病気で会社を休んでお金がもらえない状態になったら補助がでる」とか「出産した際に40万くらいもらえる(出産費用の補填になる)」とか「産休でお金もらえない期間の補助金がでる」など結構活躍します。
2,厚生年金保険
これも健康保険と同じく、ほとんど勝手に会社がやってくれます。扶養している家族がいれば…というパターンも一緒。というのも、1と2は一緒の様式で、一緒に手続きをするからなんですね。最終的に行き着く先が、1は健康保険の協会で、2は年金機構なんですが、手続きの入り口が同じなのがおもしろいところ。
入社時に年金手帳の提出が求められるのはこの手続のためです。
この保険料も、健康保険と同じような決め方になりますし、折半しているのも同じです。払い先が「年金機構」に変わります。
「今まで払っていた国民年金はどうなるの?」という問い合わせを受けることがありますが、「厚生年金がそれを包括してる」イメージでいたら大丈夫です。今まで+αを年金として収めていることになります。
3,住民税
「住民税は社会人2年目からかかる」と評判の住民税。なぜ2年目からなのでしょう。
「『あなたがこの1年で得た所得』を元に、住民税が決まるから」です。1月〜12月の間に、会社があなたに支払った金額を、年明けに各市町村に報告しています。で、それを受けて市町村は住民税を決めています。つまりまあ、1年遅れの住民税みたいになってるんですよね。住民税は6月〜翌5月までの1年間の総額が算出されて、それを月々「会社があなたから天引きして」払っています。本来なら自分自身が払うところを、会社が天引きしているわけですね。まぁ会社の義務なんですけど…
「学生時代、バイトで所得があったけど住民税かかっとらんのだけど」という疑問を抱くかもしれませんが、年末調整の際に解説した流れで、「稼いだお金」から「いろんな要素」が考慮されて計算されています。学生のバイト収入は、「いろんな要素」でほぼ打ち消されているので、住民税がかかるほどにはならないんですね。
4,所得税
これは年末調整の記事で紹介したとおりです。年間で最終辻褄をあわせますが、それを毎月計算してみている費用です。
5,雇用保険
雇用保険は、働くに当たっての保険です。入社時には特に手続きがありません。会社が勝手にやってます。その際、「雇用保険被保険者証」という細長い紙をもらいます。もらうはずです。もらってない場合は、ちょっと首をかしげましょう。
まあ、被保険者証を使うシーンなんてほぼないんですけども。
雇用保険っていうと、失業手当や技能手当など、職を失った際の手当が有名かもしれませんが、育児/介護休職中に稼ぎが無い際の補助として手当が支給される、という面もあります。
雇用保険の保険料は、毎月の給与額によってかわります。消費税みたいな感じですね。
大きな分類としてはこれくらいでしょうか。次回の記事では、「退職・転職した際はこれらはどうなるの?」というところを紹介しようと思います。