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暖かく繊細な表現にそっと包まれながら、内から芽生える何かに気づける一冊。 本屋大賞2016受賞作 宮下奈都さん 「羊と鋼の森」

愛読し、応援している作家、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」が、このたび本屋大賞を受賞しました


ここ数年でメディアにも大きく取り上げられるようになっている本屋大賞。書店員が選ぶところがポイント。「選ぶ」というのは、各書店員の投票で選ばれるということ。

本屋大賞は、全国の書店員が年に1度、出版業界活性化のために「一番売りたい本」を投票で選出するもので、第13回目となる今回は、「2014年12月1日~2015年11月30日に刊行された日本の小説」が対象。1次投票には全国435書店から552人、2次投票には276店書店から、331人もの投票があったそうです。

【本屋大賞2016】宮下奈都さん『羊と鋼の森』に決定!! (BOOKSTAND) - Yahoo!ニュース

 

実は以前もこのブログで取り上げていたこの作品。ノミネートした時も喜んでいましたが、いざ受賞が決まると、より一層嬉しい思いがこみ上げました。

というのも、いちファンとして、「書店員さんが応援している」「他のファンの方も喜んでいる」ことが、ツイッターを通じてひしひしと実感できたからです。私は一体何様なんだ、という感じですが、なんでしょうね。素晴らしい作品が、素晴らしいと推されたことで受賞している事実を、様々な媒体から再度実感できたからなのだと思います。

 

受賞したからこの作品が素晴らしい、ということではなくて、この作品が素晴らしいから受賞したというところが大事です。とはいえ、この賞は素晴らしいと思う書店員さんの思いの塊なので、賞自体もとても素晴らしい。ええ。インタビューで宮下さんがおっしゃるように、勲章でもあるのでしょう。

 

と、つらつら書きましたが、以前紹介した紀伊國屋書店グランフロント大阪店さんに、発表当日足を運びました。なんとなく、この場所で結果を聞きたかったので。(ツイッターでチェックしていたので、聞くとはまた違いますが)

紀伊國屋書店さんは、「キノベス」という、紀伊國屋書店員さんが選ぶ大賞も企画しておられ、この作品はそれにも選ばれていました。

 

この記事の中でも紹介していますが、インタビューの中で宮下さんはこう言っています。

 私の小説は、ささやかで、大きなことが何も起こらない、とずっといわれてきました。そうか、そうなのか、と思っていましたが、十年書いておぼろげに見えてきたことがあります。小さなことと、大きなこと。どちらが大切で、どちらが尊いか、くらべる必要はないのです。ひとりの人間の中に変化が生まれる。それは、小さなことでしょうか。他の誰かから見れば、どうということのない、もしかすると気がつかないくらいのことかもしれません。でも、本人にとってはぜんぜん違います。

(中略)

 この『羊と鋼の森』でも、大きなことは何も起きていないといわれるならば、この世に起きていることって何でしょう。人が生きていくこと以上の物語がどこにあるのでしょう。

紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする 「キノベス!2016」 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店

 

受賞したことでメディアでも取り上げられていると思いますが、羊と鋼の森は、ピアノ調律師の青年の物語です。ピアノの音色、表現をどう文章にしているのか。心の変化をどう描いているのか。そして、「成長」はどう描かれているのか。

それはぜひ読んで体感していただきたいです。宮下さんの小説は、誰もが一辺倒に同じ受け止め方にはならないと思っています。それは、「人それぞれ」という言葉で落ち着かせるということではなく、宮下さんの言葉で紡がれる心情や、ことば。それらが私たちの中にある「なにか」と、どこかで結びつく瞬間があるんです。これ、それこそ読者ひとりひとりの経験や思考によって結びつき方が違う。

言葉にできない、自分の中の概念が「ああ、これだ」って。腑に落ちる。

そんな心地よさが、宮下さんの作品にはあると、私は思っています。

 

ちょうどこの4月、新しい生活が始まった人も多かろうと思います。主人公の外村氏も、調律師としての道を歩み始めるところから始まります。

何かにぶつかったり、何かに挑戦したり。何かを身に付けたり、何かに気づいたり。宮下さんが丁寧に描く、「仕事をしていくなかで出会う様々な事象」は、どこか自分に置き換えることもでき、前向きに思うこともできる。「自分はだめだなー!」って思うことも、肯定してくれる。だめだと思っちゃだめ!なんて言わない。背中を押してくれるというよりかは、そっと包み込んでくれる作品です。

 

是非ご一読ください。

重ねて、書店員さんの思いがつまりに詰まった本屋大賞ですので、ぜひ本屋さんに足をはこんでみて下さい。協賛されてる書店さんでは、愛あふれる展開がされていたり、するかと思います。

 

私も紀伊國屋書店グランフロント店さんを訪れてみようと思ってます。ちなみに、4月12日の夜現在は入り口にキノベス特集として宮下さん作品が積まれており、羊と鋼の森はもちろん、他の作品もサイン本が多く用意されていたので、お近くの方は足をはこんでみてはいかがでしょうか!

これを機に、他の作品もぜひ。

 

 

  

www.kinokuniya.co.jp